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雑談スレ

706正樹 ◆6z10n91cnw:2007/08/30(木) 20:38:38
 
       『いま「ゼロ戦」の読み方−ソフトの格差が勝敗を分ける』
       (ワック:日下公人、三野正洋)
       −46頁〜48頁−
       海軍の「計画要求書」でエンジンは
       三菱瑞星13型(高度3600メートルで最高875馬力)か
       三菱金星46型(高度4200メートルで最高1170馬力)
      を使用のこと
       −70頁〜71頁−
       エンジンにしても、昭和12年に瑞星にすべきか、金星にすべきか
      決めるときに、三菱の中では「金星にしてくれ」と言う意見が出ていた。
      今の知恵で言えば、二種類を造れば良かった。金星を積んだ零戦も
      片手間に設計しておけば、同時に二種類ができたのだろう。だが、
      そう言うことは「秀才のすることではない」と言う考え方があった。
      秀才は才能があるから一発で当てなければならないのだ。
       加えて貧乏根性だったせいか、同時並行でいくつもやってみると
      言う思想がなかった。この頃は電機会社でも新製品の開発方向が
      3つがあって1つに決めようがない時は、「3つとも造ってみよう」と
      言うことになるが、それは日本が割と金持ちになったからできる
      のであって、当時は貧乏国で1つしか造れないから、あくまで議論して
      机の上で絞ろうとした。
       −127頁〜128頁−
       そもそも日本の場合は、陸海軍の航空隊が全く別々に軍用機を
      開発していた点が極めて大きなマイナスであった。空母への搭載機
      (所謂(いわゆる)艦上機)は例外としても、戦闘機、双発爆撃機などは
      当然に共通化すべきであった。
       零戦と一式戦闘機の隼、96式陸上攻撃機と97式重爆撃機の開発は、
      使用目的が同じなのだから、共通化した方が合理的である。また、
      海軍爆撃機『銀河』と陸軍爆撃機『飛竜』も大きさや性能は殆ど
      同じであるから、別々に試作・開発し、量産するなど何とも納得が
      いかない。
       共通化できるところを纏めていれば開発費も半分で済み、それの分を
      生産数を増やすことができる。また設計チームにも余裕が生まれ、
      改造・改良作業も迅速に進んだはずである。最終的には、零戦は
      1万機、隼は5600機が生産されたが、これを零戦だけに絞れば
      生産数を少なくとも2万機まで増加させ得たはずだ。零戦は、
      あらゆる能力が隼に勝っていたから、陸軍もこれを採用していれば、
      戦力は数段向上していたことは間違いない。
       現在に、日本の経済は深刻な不況に見舞われており、各社・各業界とも
      立ち直りと言う目的に向けて努力しているのだろうが、目的が同じ
      なのだから、互いに連絡なしに努力することは無駄が多いのでは
      ないのだろうか。周りとの連絡を充分に取り、可能な限りの共通化を
      試みることが、有効ではないのだろうか。零戦と隼は、現代の反面教師だ。
       −131頁−
       (正樹注:設計者の)堀越は軽くするためには、エンジンも軽く
      しようと考えた。そうすれば馬力は弱くなるが、それの代わりに
      脚を始めとすることでの機体の構造重量も軽くなる。時代逆行だが、
      それでも成功した。「1千馬力から1200馬力への性能向上が
      期待できる金星を積むべきだ」と言う話は、昭和12年からあった。
       −132頁−
       零戦を造る昭和11年の時点で、堀越は甲戦・乙戦両方を別々に
      試作する提案もしていたし、「将来に金星に代えるのなら、それの
      用意もしておいた方が良い」との考えも言っていた。
       −71頁−
       甲戦/乙戦
       海軍が定めたことでの戦闘機の用途の区別。
       甲戦とは、敵地に侵攻して制空を主任務とする戦闘機(例えば零戦)を指す。
       乙戦とは、防空/迎撃に使われる戦闘機(例えば雷電)のことである。
       この区別は、時代と共に必ずしも明確ではなかった。


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