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教師への暴力 警察介入の是非
学校内「教師への暴力」で現行犯逮捕も…荒れる学校に「警察の介入」の是非
弁護士ドットコム2017年10月15日09:51
●教師は暴力から身を守る術がない
Q1
――こうした問題では「すぐに警察を頼るのではなく、学校で指導すべき」といった声が上がることもあります
A1
校内暴力でも傷害またはその結果を招く暴行がある場合、警察が介入するのは正当といえます。これまで警察は家庭や学校など閉ざされた場に対する介入について、あまり積極的な姿勢ではありませんでしたが、近年は変わってきました。
文科省も、学校で犯罪行為が行われた時は警察としっかり連携してということをうたっています(平成19年2月5日 文科省初等中等教育局長による通知「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について」等参照)。学校で犯罪が行われているのだから、それに対して法律に従って対応するのは必ずしも責められるべきではありません。もちろん、「教育と指導によって解決できるよう努力しよう」という、一般的な考えを否定するものではありません。
Q2
――中学事件では校内で教師による現行犯逮捕ということが一般の人には衝撃だったように思います
A2
現行犯逮捕と通常逮捕(刑事訴訟法199条1項)では単に手続き上の違いだけが問題になるのではありません。現行犯なら犯罪現場の状況が続いているわけですから本人も否定しようがないのですが、通常逮捕なら事後的司法審査のハードルがあります。通常逮捕だから良くて、現行犯逮捕だから良くないという問題ではないと思います。
Q3
――こういう問題が起きるのは、どのような原因であるとお考えでしょうか
A3
昔は体罰が許されていたわけではありませんが、事実上容認されていたような風潮がありました。そんな時代なら暴力に対して、殴り返してでも止めることもできたのでしょう。でも、今はできませんし、そもそもすべきではありません。体罰は禁止されている(学校教育法11条参照)からこの傾向は国際的にも当然で、歓迎すべきです。一方、そうなると先生は身を守る術がないわけです。暴力は絶対ダメ、警察権力も使ってはいけませんというのであれば、自分の身を守ることは難しくなります。
体罰は許されないのであれば、その分、先生の身を守るための手段は社会として許容されていなければならないと思います。教師の立場からすれば法律で許されている現行犯逮捕という手段を使って、それを非難されるというのはかわいそうに思います。
Q4
――教育評論家には、警察の介入に否定的な人も少なくないようですね
A4
では「どうやって生徒の犯罪行為から他の生徒や教師の生命・身体という重要な法益を守るのか」と聞きたいですね。子どもの個々の発達状況や環境によっては、どうしても暴力を振るってしまう生徒はいます。そういう生徒に対して司法を使って指導するのは、少年法の理念にもかなっています。少年法は少年を罰するのではなく、更正させるための法律です。教育の現場ではカバーしきれない、「犯罪」という社会的ルールから逸脱してしまう行為をした少年を司法の場で適切に対処し、大人の社会のルールに適合させるようにすることは法の理念にかなうはずです。
役割分担は必要です。犯罪ではない、先生が対処できる範囲は教育で、暴行でも傷害罪になる場合や、なりうる強度なものの場合には、学校として警察と連携することは否定されるべきではないと思います。
Q5
――高校事件では煽ったり、笑ったりしていた生徒に対する批判の声が強かった点はどのようにお考えでしょう
A5
非難されるべき行為で、教育的指導は必要でしょう。ただ、それが直ちに「現場助勢罪」(刑法206条)にあたるかと言えば、本件では難しいでしょう。教師の生命や身体が害されるおそれがある場合だからこそやむを得ず警察権力を使うわけで、教育的指導を第一に考えることは必要だと思います。もちろん、程度問題ですので、煽り行為がより具体的に犯罪を促進している場合は、司法による対応も必ずしも排除されるものではありません。
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