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最近見た昔の映画、名画、Noir・・・

22名無しさん:2005/07/05(火) 02:56:02
原題:Rebecca   監督:ヒッチコック (1940)

名前も与えられていないヒロインの女性像である。物語では初め彼女は両親を亡くしていて、有閑マダムの付き人をして生計を立てているというつらい境遇にあることが明らかにされる。彼女はそのマダムにいいようにこき使われていて、それに逆らうこともできずいつもおどおどしている。その姿には、不幸な生い立ちの女性という人物像を浮き彫りにすると共に、自己のアイデンティティを確立できないでいる未成長な、そして誰かにあるいは何かに頼っていかざるを得ないという未熟さをも象徴する。こういった女性像というのは、ヒッチコックはすでにイギリス時代において描いてきた。すなわち、「サポタージュ」においてはアメリカから不況を逃れて弟と二人だけでイギリスに移住してきた主人公、「第三逃亡者」では母親不在の家庭で弟たちの母親代わりをしなければならない主人公、彼女たちは、それぞれ厳しい境遇の中にいて自分を偽ってまでも何かに頼って生きていかなければならない。そういう女性がいかにして自己のアイデンティティを確立するかをサスペンスとして描いたのがそれらのイギリス時代の作品だった。つまり、「レベッカ」におけるヒロインもまたヒッチコックが描こうとしてきた女性像の典型なのである。

 やがてヒロインは、富豪ウィンターと運命的な出会いをし、まるでシンデレラのように彼と結婚しそれまでの惨めな境遇から脱出することに成功する。しかし、それは真に彼女にとっての幸せなのであろうか。突然訪れた幸運な結婚。だが彼女を迎えたマンダレーの豪邸はまるで幽霊屋敷のように生気がなく、そこはウィンターの前妻レベッカの生前の魂に支配されているようだ。レベッカの召使いだったダンヴァース夫人の冷たい視線が彼女を拒絶している。


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