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文学:Joyce, Nabokov・・・
62
:
名無しさん
:2005/06/18(土) 01:28:37
>>32
【Gatsby believed in the green light, the orgastic future that year by year recedes before us. It eluded us then, but that's no matter - tomorrow we will run faster, stretch out our arms further... And one fine morning -】
広大なビーチの大部分はいまや閉鎖されてしまい、ひどく薄暗かった。明かりといえばただ、海峡を渡るフェリーの留まることを知らない光があるだけ。月が高く高く昇るにつれ、無用の館は溶けはじめ、やがてぼくはこの島のかつての姿を徐々に意識するようになった。オランダ人の船員の目に花開いたこの島――新世界の、溌剌としてみずみずしい胸部。いまはない木々、ギャツビーの屋敷に場所を譲った木々が、かつては、あらゆる人類の夢のうち最後にして最大の夢をささやきかけていた。束の間、まるで魔法にかけられたように、男はこの砂浜と、自分の探求心のキャパシティーに比例する何かをふくんだ対面を、理解もしなければ望みもしない詩的考察を強いられながら、かれ以降の人類が二度と経験しなかったようなその対面を果たしたに違いない。
ぼくは体を起こして、その遠い、知る由もない世界に思いを巡らせながら、デイジーの屋敷の桟橋の先端にあった緑色の光をはじめて見つけたときのギャツビーの信じられないような気持ちを思った。長い旅路を経てこの青い芝生にやってきたかれには、自分の夢がつかみそこないようのないほど近くにあるように思えたに違いない。かれには、それがすでに過ぎ去った夢だというのがわからなかった。あの街の向こう、あの広大で曖昧とした世界、共和主義の原野が夜にまかせて押し寄せようとしていたところにぼくらが置いてきた夢。
ギャツビーは信じていた。あの緑色の光を、年々ぼくらから遠ざかっていく、うっとりするような未来を。あのときはぼくらの手をすりぬけていったけど、大丈夫――明日のぼくらはもっと速く走り、もっと遠くまで腕を伸ばす……そしていつかきっと夜明けの光を浴びながら――
だからぼくらは流れにさからい、止むことなく過去へと押し流されながらも、力をふりしぼり、漕いでゆく。
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