極低温の反陽子は、反水素(反陽子と陽電子の結合状態)や反陽子原子など、反物質の世界を
研究するために無くてはならない“素材”ですが、物質との反応性が高く、大量に蓄積することは
これまでほとんど不可能でした。今回、高周波四重極減速器(RFQD: Radio Frequency Quadrupole
Decelerator)と大容量多重電極トラップを組み合わせ、反陽子蓄積効率を一気に50倍改善しました。
これは反水素原子の大量合成への第一歩であり、反水素原子の性質を水素原子と高精度で比較する
ことにより、自然の最も基本的な対称性(CPT対称性)について重要な知見を得ることや、反物質の
重力に対する反応を調べるなど、これまで大変困難であった基礎物理実験を可能にする重要な成果です。