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講義と演習「代数系入門」
170
:
Мечислав(☆12)
◆QRDTxrDxh6
:2007/05/31(木) 06:06:28
f:R→S,g:S→Tを写像とする.
対応R∋x|→g(f(x))∈Tは写像であるが,
これをfとgの合成写像といいg○fと書く.
例10 f:R→R,g:R→Rをそれぞれ,
f(x)=x^2,g(x)=x+1とすると,(g○f)(x)=x^2+1,(f○g)(x)=(x+1)^2.
補題1
(1) f:R→S,g:S→Tがともに単射であればg○f:R→Tも単射である.
(2) f:R→S,g:S→Tがともに全射であればg○f:R→Tも全射である.
証明.
(1) (g○f)(x)=(g○f)(y)であるとするとg(f(x))=g(f(y)).
gが単射であるからf(x)=f(y).fが単射であるからx=y.
(2) zをTの任意の元とするとgが全射であることによりg(y)=zなるSの元yが存在する.
このときfが全射であることによりf(x)=yとなるRの元が存在する.このとき
(g○f)(x)=g(f(x))=g(y)=z.■
171
:
Мечислав(☆12)
◆QRDTxrDxh6
:2007/05/31(木) 06:08:09
補題2 f:R→S,g:S→T,h:T→Uを写像とすると,
h○(g○f)=(h○g)○f.
証明. h○(g○f)も(h○g)○fもRからUへの写像であり,
Rの任意の元xに対して
(h○(g○f))(x)=h((g○f)(x))=h(g(f(x))),
((h○g)○f)(x)=(h○g)(f(x))=h(g(f(x))).■
f:S→S'を写像とするとf○I_S=f,I_{S'}○f=fである.
実際,f○I_SもI_{S'}○fもSからS'への写像であり,
任意のSの元xに対して,
(f○I_S)(x)=f(I_S(x))=f(x),(I_{S'}○f)(x)=I_{S'}(f(x))=f(x).
またfが全単射のときはf○f^(-1)=I_{S'},f^(-1)○f=I_Sである.
実際,f○f^(-1)はS'からS'への写像であり,
任意のS'の元x'に対して
(f○f^(-1))(x')=f(f^(-1)(x'))=x',
f^(-1)○fはSからSへの写像であり,
任意のSの元xに対して
(f^(-1)○f)(x)=f^(-1)(f(x))=x.
172
:
Мечислав(☆12)
◆QRDTxrDxh6
:2007/05/31(木) 06:09:11
補題3 f:S→S'を写像とする.
g○f=I_Sかつf○g=I_S'をみたすS'からSへの写像gが存在するなら
fは全単射でありg=f^(-1)である.
証明. f(x)=f(y)であるとするとg○f=I_Sよりx=yとなるのでfは単射.
f○g=I_S'よりS'の各元x'に対してf(g(x'))=x'でありg(x')はSの元であるのでfは全射である.
補題2よりf^(-1)=I_S○f^(-1)=(g○f)○f^(-1)=g○(f○f^(-1))=g○I_{S'}=g.■
173
:
Мечислав(☆12)
◆QRDTxrDxh6
:2007/05/31(木) 06:12:56
二章一節の問題
1.f:S→S'を写像とする.次のことを示せ.
(a) U⊂S,W⊂Sならば
f(U∪W)=f(U)∪f(W),
f(U∩W)⊂f(U)∩f(W),
fが単射ならば等号が成立する.
(b) U'⊂S',W'⊂S'ならば
f^(-1)(U'∪W')=f^(-1)(U')∪f^(-1)(W'),
f^(-1)(U'∩W')=f^(-1)(U')∩f^(-1)(W').
(c) U⊂Sならば
f^(-1)(f(U))⊃U.
fが単射ならば等号が成立する.
(d) U'⊂S'ならば
f(f^(-1)(U'))⊂U'.
fが全射ならば等号が成立する.
174
:
Мечислав(☆12)
◆QRDTxrDxh6
:2007/06/15(金) 03:53:41
§2 群とその例
Gを空でない集合とする.Gに1つの2項算法が与えられたとする.
この2項算法による(a,b)の像をa*bと書くことにする.
この算法が次の3つの条件を満たすとき,Gと*のペアを群という.
G1 すべてのGの元a,b,cに対して,
(a*b)*c=a*(b*c).
が成り立つ.
G2 すべてのGの元aに対して,aに無関係なGの元eで次の条件を満たすものが存在する.
e*a=a*e=a.
G3 すべてのGの元aに対して,
a*b=b*a=e
をみたすGの元bが存在する.
175
:
Мечислав(☆12)
◆QRDTxrDxh6
:2007/06/15(金) 03:54:33
Gと*の組(G,*)を群というのだが,特に必要がなければ群Gと言ったりもする.
群の算法を表す記号は加法の記号a+bや乗法の記号a*bあるいはabを用いる.
乗法記号を用いるとき乗法群,加法記号を用いるとき加法群といったりする.
以下一般論では,記号を簡単にするため乗法群を用いる.
G2におけるeをGの単位元と言う.eの代わりに1と書いたりもする.
G3におけるbをaの逆元という.
単位元は1つしかない.実際eもe'も単位元であるとすると,e=ee'=e.
aの逆元は各aに対して1つしかない.実際bもcもaの逆元であるとすると,
b=be=b(ac)=(ba)c=ec=c.
aの逆元をa^{-1}と書く.
aa^{-1}=a^{-1}a=eであるから(a^{-1})^{-1}=aである.
加法群においては,単位元を0,aの逆元を-aと書く.
習慣として加法群においては,その算法が交換律を満たすものとする.
即ちa,bをの加法群Gの任意の元であるとするとa+b=b+aが成り立つものとする.
一般に乗法群において,ab=baが満たされるときaとbは可換であるという.
Gの任意の2元が可換であるときGを可換群またはAbel群という.
176
:
Мечислав(☆12)
◆QRDTxrDxh6
:2007/06/15(金) 03:57:23
例11 Z,Q,R,Cはそれぞれ普通の加法に関して可換群である.
証明 a∈Z,b∈Zならばa+b∈Z,
a∈Q,b∈Zならばa+b∈Q,
a∈R,b∈Zならばa+b∈R,
a∈C,b∈Zならばa+b∈C.
Cは加法についてG1を満たす.
Cの元0は加法の単位元である.0∈Z⊂Q⊂R⊂C.
a∈Cに対して-aは逆元である.
a∈Zならば-a∈Zであり,
a∈Qならば-a∈Qであり,
a∈Rならば-a∈Rであり,
a∈Cならば-a∈Cである.
Cの任意の2元はCの加法について可換である.■
177
:
Мечислав(☆12)
◆QRDTxrDxh6
:2007/06/15(金) 03:59:20
例12 Q^*:=Q-{0},R^*:=R-{0},C^*:=C-{0}
はそれぞれ普通の乗法に関して可換群をなす.
Q,R,Cは乗法に関して群をなさない.
証明 a∈Q,b∈Zならばab∈Q,
a∈R,b∈Zならばab∈R,
a∈C,b∈Zならばab∈C.
Cは乗法についてG1を満たす.
Cの元1は乗法の単位元である.
1∈Q⊂R⊂C.
a∈C^*に対して1/aは逆元である.
Cの任意の2元はCの乗法について可換である.
a∈Qならば(1/a)∈Qであり,
a∈Rならば(1/a)∈Rであり,
a∈Cならば(1/a)∈Cである.
0∈Q⊂R⊂Cの逆元があるとし,
bとすると0b=b0=1.このようなCの元bは存在しない.■
178
:
Мечислав(☆12)
◆QRDTxrDxh6
:2007/06/15(金) 04:01:56
例13 a∈R,b∈Rとする.
複素数α:=a+ibに対し,その絶対値を
|α|:=√(a^2+b^2)
で定義する.
T:={α∈C;|α|=1}は乗法に関して可換群をなす.
証明 a_1∈R,a_2∈R,b_1∈R,b_2∈R,α_1=a_1+ib_1∈ T,α_2=a_2+ib_2∈ Tとすると,
|α_1α_2|
=|(a_1a_2-b_1b_2)+i(a_1b_2+b_1a_2)|
=√((a_1a_2-b_1b_2)^2+(a_1b_2+b_1a_2)^2)
=√(a_1^2a_2^2+b_1^2b_2^2+a_1^2b_2^2+b_1^2a_2^2)
=√(a_1^2(a_2^2+b_2^2)+b_1^2(a_2^2+b_2^2))
=√((a_1^2+b_1^2)(a_2^2+b_2^2))
=1
となるので乗法はTにおける算法である.
Tの乗法はCの乗法であるので結合律を満たす.即ちTはG1を満たす.
|1|=|1+i0|=√(1^2+0^2)=1より1∈Tであるので,1はTの単位元である.即ちTはG2を満たす.
α_1=a_1+ib_1∈ Tに対して,
1/α_1=a_1-ib_1∈T.TはG3を満たす.
また,Tの乗法はCの乗法であるのでTの任意の2元は可換である.■
179
:
Мечислав(☆12)
◆QRDTxrDxh6
:2007/06/15(金) 04:02:43
例14 {1,-1}は乗法について可換群をなす.
証明 1*1=(-1)*(-1)=1,1*(-1)=(-1)*1=-1となるので乗法は{1,-1}における算法である.
{1,-1}の乗法はCの乗法であるので結合律を満たす.即ち{1,-1}はG1を満たす.
1∈{1,-1}であるので,1は{1,-1}の単位元である.即ち{1,-1}はG2を満たす.
1^{-1}=1,(-1)^{-1}=-1であるので{1,-1}はG3を満たす.
また,{1,-1}の乗法はCの乗法であるので{1,-1}の任意の2元は可換である.■
180
:
Мечислав(☆12)
◆QRDTxrDxh6
:2007/06/15(金) 04:03:34
例15 集合{e}はee=eと算法を定めれば可換群をなす.
証明 (ee)e=ee=e,e(ee)=ee=eより{e}はG1を満たす.
ee=ee=eよりeは{e}の単位元である.よって{e}はG2を満たす.
e^{-1}=e.{e}はG3を満たす.
ee=eeより{e}の任意の2元は可換である.■
例15の{e}を単位群という.
181
:
Мечислав(☆12)
◆QRDTxrDxh6
:2007/06/15(金) 04:06:10
有限個の元からなる群を有限群という.有限群の元の個数をその群の位数という.
例16 Xを空でない集合とする.
GをXからXへの全単射全体の集合とすると,
Gは写像の合成に関して群をなす.また,
Xが3元以上からなるならGは非可換.
証明 補題1(
>>170
)より写像の合成はGの算法である.
補題2(
>>171
)よりGはG1を満たす.
I_XはGの単位元である.よってGはG2を満たす.
f∈Gの逆元はf^(-1)∈Gである.よってGはG3を満たす.
{a,b,c}⊂ Xとする.
f∈Gを
f(a)=b,f(b)=c,f(c)=a,¬(x∈{a,b,c})ならばf(x)=x,
g∈Gを
g(a)=c,g(c)=a,¬(x∈{a,c})ならばf(x)=x
とすると,
(g○f)(a)=b,(f○g)(a)=aとなるのでこの群は非可換である.■
182
:
Мечислав(☆12)
◆QRDTxrDxh6
:2007/06/15(金) 04:08:02
例15のGを集合X上の対称群といいS(X)と書く.
S(X)の元を置換という.
Xがn元からなる集合のときS(X)をS_nと書き,
n次対称群という.
S_nは有限群で,その位数はn!である.実際,X={1,2,…,n}とすると,
X上の置換は例えば
(1,2,…,n),(4,7,2,1,…)
などと表される.左の置換はI_Xを,右の置換はσ(1)=4,σ(2)=7,σ(3)=2,σ(4)=1,…となるS_nの元σを,それぞれ表すものとする.
即ちS_nの位数は,異なるn個のものを1列に並べる順列n!に等しい.
183
:
はじめまして
:2010/07/15(木) 09:55:21
114の(3)の答えってどうなるか教えてくださいー(>_<。)
185
:
Je n'ai pas de nom!
:2012/05/02(水) 20:59:29
腹へったな。。。
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