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不滅(アタナシウス)のキルヒャー小説

1おおはし:2004/06/02(水) 20:23
アントン・ハークマン著『キルヒャーの地下世界』という小説をみつけました。
原著者名原題はAnton Haakman, De onderaardse wereld van Athanasius Kircher, Meulenhoff, Amsterdam 1991. (それの伊訳Il Mondo sotterraneo di Athanasius Kircher, Garzanti 1995. が最近いわゆるゾッキ本として時々目につきます。この訳書が出た当時には、まったく気づきもしませんでした。)
まあ、『世界博物館Il museo del mondo』と題する展覧会が開催にこぎつけたのがやっと2001年のことですから。
そんなことを思い出しつつ読んでみると、なんだかエーコの小説二作目のパロディみたいなおはなしの進み方。研究と陰謀。キルヒャーにとり憑かれた人を追う著者が...要するにミイラとりがミイラになるような想像通りの展開で、キルヒャーファンじゃないと読んでもあんまりかな、という中間部。僕は違う理由からIter extaticumに関心があったので、著者がキルヒャーのこの〈挿絵のない〉本に入れ込んでみせるところがとても面白かった。ところが最後に、キルヒャーの名を騙る詐欺師と貶められた人がどうやら実在の人物らしいというほのめかし。コレージョ・ロマーノにキルヒャーの書斎らしきものが見つかったりして、そこにフーコー振子の〈ようなもの〉まであったり...著者はかなり醒めてます。
平井さんの日記でも引かれた『ローマ・バロックのエンチクロペディスモ』という1986年刊の論集に「キルヒャー博物館のカタログ出版史La letteratura scientifica sul Museo kircheriano」が載る人物のことらしいのですね、これが。
1986年に出た上の本は1985年5月に『キルヒャー展』立ち上げのため催された研究発表会論集であったけれども、結局展覧会は企画倒れとなり、2001年に別の形で実現するまで、十五年。キルヒャーが独創性のない詐欺師・剽窃家とみなされていた時代もそれほど過去のことではない、ということを確認するにはもってこいの小説です。

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