高崎がわかるプログ・サイトPart３ - 1487383554

66：凡人：2017/03/31(金) 03:09:15 ID:0ZaqCPPs0: 第８９回選抜高校野球
健大高崎、４強逃す　好試合を球史に刻む　／群馬
毎日新聞2017年3月30日　地方版

【秀岳館－健大高崎】秀岳館に敗れ、ベンチ前で整列する健大高崎の選手たち＝阪神甲子園球場で、平川義之撮影

　第８９回センバツで、健大高崎は２９日、準々決勝で秀岳館（熊本）に２－９で敗れ、５年ぶりの４強進出はならなかった。先発の伊藤敦紀投手（３年）ら３投手の継投で戦ったが、秀岳館の強力打線を抑えられなかった。２回戦の延長十五回の引き分け再試合、走塁を駆使した「機動破壊」、２本の満塁本塁打－－。鮮烈な記憶と記録を春の甲子園に刻んだ選手たちに、スタンドからは大きな拍手が送られた。【山本有紀、小鍜冶孝志】

　▽準々決勝第３試合

秀岳館
　　２０１４０１００１＝９
　　０００００１１００＝２
健大高崎

　劣勢でも諦めない姿勢が光った試合だった。

　８点を追う六回の攻撃－－。先頭打者の小野寺大輝選手（３年）がセーフティーバントを決める。前の２打席は空振り三振。「塁に出ることが第一だった」。次打者の４球目で盗塁。「流れを作りたかった」との言葉通り、内野ゴロの間に三塁に進み、最後は捕逸でホームを駆け抜けた。「０」が並んでいたスコアボードに「１」が入った。

　「おのでらー！」。スタンドの大歓声の中、母深雪さん（４０）は「諦めない姿勢が感じられる。私たちも一生懸命、応援したい」とメガホンを握る手に力をこめた。

　果敢に攻めるナインの姿にアルプスも奮起する。七回表２死満塁のピンチをしのぎ、その裏の攻撃に入る前、健大高崎の加藤陽彦校長が応援席に大声で呼びかけた。「ここから頑張ろう！　まだまだ！」。応援席もそれに応えて声を張り上げる。「元気出していこう！」

　七回裏、１死走者なしで打席には７番の今井佑輔選手（２年）。「きれいなヒットはいらない。粘り強くどこかに落とそう」。打球は中前に抜ける。すかさず二盗に成功。２死後、９番の大柿廉太郎捕手（２年）は「ここで１本出せば流れがくる」と気合を入れ直した。直球に狙いを定め、左前適時打で１点を返し、２－８。

　八、九回の攻撃も得点圏に走者を進め、アルプスを沸かせた。

　　〓　　〓
　試合は序盤から相手ペースに持ち込まれ、苦しい展開が続いた。

　初回、相手の３番打者に２点本塁打を浴びる。「先制点を取られて、ひるんでしまった。一気に押されてしまった」と湯浅大主将（３年）。

　三回裏の攻撃では、２死一、二塁の好機で３番・山下航汰選手（２年）の打球は中前へ。三塁コーチの永渕遼選手（３年）は手を回した。「流れが悪く、点を取らないといけない。無理してでも行ってもらおう」。しかし、中堅手の好返球で、二塁走者は本塁でタッチアウト。永渕選手は「相手の方が上だった」と肩を落とした。

　試合後、整列した選手たちには、大きな拍手と「よくやったー」の声援が送られた。「最後まで粘り強く戦って、感動した」と野球部の春原廣陽さん（２年）。保護者会の代表の小野和也さん（４７）は「悔しい気持ちがあれば夏にぶつけてほしい。この負けを生かして」と夏のリベンジを願った。

猛練習の成果息はピッタリ
　○…健大高崎のチアリーダー部２６人が赤と白のポンポンを手に、息の合った踊りで応援席を盛り上げた。３月に入ってから毎日のように振り付け練習を重ね、甲子園では試合後にインターネットの動画サイトで、自分たちの動きをチェック。ずれているところがあれば、その都度、修正をしてきた。この日は苦しい試合展開になったが、倉野内葉月部長（３年）は「最後まで諦めず、力のある応援をしたい」とエールを送り続けた。

　■白球譜
　球種を磨いて夏へ　健大高崎・３年伊藤敦紀投手

　先発のマウンドは３回と３分の２を投げ、自責点７。走者を出してもしっかり抑えるいつもの姿はなかった。「全ての部分で通用しなかった。力不足です」。声を絞り出すように試合を振り返った。

　今チームから背番号１を担ってきた。昨夏の群馬大会の決勝で延長の末、前橋育英に敗れ、当時エースだった石毛力斗さんから「俺らの分まで頑張ってくれ」と託された。冬は、持ち味のコントロール力を磨いてきた。

　初戦の札幌第一（北海道）戦や２６日の福井工大福井（福井）戦では安定感が光った。

　２８日の福井との再試合で向井義紀投手（３年）が完投したのを見て「自分も頑張らないといけない」と気を引き締めて臨んだ準々決勝だったが、「甘くない球も持っていかれた」と力負け。

　「甲子園での成長よりも課題や反省の方が大きい」と口にしつつも、最後は前を向いた。「球種を磨いて、夏に生かしていきたい」【山本有紀】