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高崎がわかるプログ・サイトPart3

556凡人:2018/05/06(日) 12:13:01 ID:AaSPFmRQ0
◆“バンドとロック”純化路線をさらに広げた2日目
 なぜ、このイベントがあるか。“筋”はそれだけではない。音楽である。音楽が筋を作っている。LOOP CHILD、モーモールルギャバン、氣志團、FLYING KIDS、ORIGINAL LOVE、布袋寅泰という2日目のラインアップは、1日目の“バンドとロック”という純化路線をさらに広げることになった。

 氣志團の綾小路翔は何度となく「ビートの聖地・高崎」と言った。木更津で氣志團万博を開催している彼らは、単独アーテイストが主催する困難さを知っている。これで5年連続出場のFLYING KIDSは、このイベントがどのくらい他と違うかを経験済みだ。ORIGINAL LOVEの演奏がいつもよりパンキッシュでビートニックだったのは、高崎という街と、その後に布袋寅泰が控えていたからかもしれない。

 演奏が演奏を呼びライブの熱が連鎖反応のように高まって行く。縦横無尽のビートというのはこの2日間のことだろう。1日目のオープニングを務めたDJ・ダイノジが、BOOWYとROGUEの曲を絶妙にミックスしていたことも付け加えなければいけない。

 そして、布袋寅泰になった。ROGUEの香川誠とG-FREAK FACTORYのヴォーカル・茂木洋晃の高校の先輩。第一声は「ただいま」以外にないだろう。18の時に「窮屈だ」と出て行った故郷に戻る。「東京で夢をつかむために戦っている戦士は、負けたくないライバルであり、だからこそ誇らしい」。ROGUEだけでなくBUCK-TICKの名前も挙がっていた。

 ロックファンにとってゴールデンウイークは悲しい記憶とともにある。2日は清志郎とhideの命日だからだ。布袋寅泰は「空を見上げて空に行ってしまった人たちに向けた演奏をすることが多くなったけど、奥野は違う。あいつは負けない、もちろん苦しんでいるだろうけど、俺たちよりも強く、楽しんでいる。俺たちにエネルギーを与えてくれる」と言った。

◆布袋寅泰に寄り添って歌った奥野敦士「終わりのない歌」
 5月4日、19時40分。最後の出演者はROGUEだった。再結成後の新作アルバム『DESOLATION ANGELS』のなかの「GET THE GLORY」は、栄光を掴む歌だ。どんな大変なことがあろうとその人にとっての栄光はある。「GET THE GLORY」と叫ぶ奥野敦士は車いすからハミ出しそうに左右に大きく体を動かしながら叫んでいた。この連休、誰よりも確かな栄光を手にしていたのは彼ではないだろうか。そして、その姿を目撃した客席の5000人もその共有者なのだと思う。

 人は誰でも夢を見る。そして、それを叶えるために故郷を捨てることもある。同じように、一度は捨てた者がさまざまな経路を経て再会する。ROGUEのバンド人生も奥野敦士のヴォーカリストの道も、一度は閉ざされた行き止まりだった。そして奥野敦士は地獄を見た。アンコールは布袋寅泰と綾小路翔も加わった「DREAMIN’」。ギターを弾きながら体を寄せてきた布袋寅泰の肩にほほを寄せるようもたれていた奥野敦士は心から幸せそうだった。最後に歌われたのはもちろん「終わりのない歌」だ。

 このイベントには障害者用の車を行政に寄贈するという目的がある。すでに7台が群馬県内を走っているという。間もなく8台目が走りだすはずだ。出演者の多さや参加者の数を競うわけではない。スタッフは全員がボランティアだ。お義理でもビジネスでもない。なぜロックバンドなのか、なぜ音楽なのか。そして、音楽の力とは何なのか。こういうフェスがあることを声を大にして伝えたいと思う。
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