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全国都市間競争の現実Part3

323凡人:2017/09/29(金) 12:25:38 ID:R.OzoZ.k0
上記の続き

――湯沢町の通勤費補助制度には、どのような目的があるのでしょうか?

 移住の促進と転出の防止、双方を目的に2016年8月から開始しました。移住された方、あるいはもともと湯沢町にお住まいの若い世代が、「町内に仕事がないから転出する」ということなく、町内から勤務先へ通っていただくことで定住を促します。

――補助の上限額や期間が、ほかの同様事例平均より手厚いように感じますが、どのような理由があるのでしょうか?

 制度設計で参考にしたほかの自治体と比べると手厚いでしょう。支出は大きいかもしれませんが、それによって得られる住民税や地方交付税のほうが、メリットが高いと計算しています。何より、10年という期間はほかに例がありません。補助を2、3年で終えるよりも、10年くらい設定したほうが、転出のリスクを抑えられるからです。たとえば、町内へ移住されて補助金を利用される方については、35歳前後の子育て世代を想定していますので、10年のあいだに補助対象者がより高い役職に就けば、結果的に税収のアップにもつながります。

これから導入する栃木県小山市、その目的は?

 東北新幹線の小山駅がある小山市は、人口が微増傾向にあるにもかかわらず、新幹線通勤費補助金の導入を予定しています。人口は約16万7400人(2017年9月1日現在)で、東京〜小山間の距離は約81km、通勤定期券は1か月7万7310円です。同市工業振興課に話を聞きました。

――なぜ新幹線通勤費の補助金を導入するのでしょうか?

 大学などを卒業して働き始めた世代で市からの転出が多かったことから、その対策を目的としていました。ただ、移住してきた人へもこの制度を適用できるよう、対象を見直しています。

――具体的な内容はどのようなもので、いつからはじまるのでしょうか?

 市内在住の新卒者と、2017年4月以降に小山市へ転入された方に適用できるよう調整しています。東北新幹線の小山〜上野間あるいは小山〜東京間の通勤定期購入費について、通勤手当を控除した自己負担分をひと月あたり最大1万円、最長36か月間補助します。

※ ※ ※

 小山市工業振興課によると、「現時点でも10人程度から問い合わせをいただいています。早ければ2017年11月から導入できるよう準備を進めている」そうです。

3年で補助金終了 そのワケは?

 一方、東海道新幹線の小田原駅がある神奈川県小田原市では、過去に新幹線通勤の補助金を実施したものの、その後継続せずに終了しました。

 これについては市ウェブサイトの「よくある質問と回答」に、「平成17年度から、3年間の定住促進モデル事業として、新しく小田原市に転入し、新幹線で通勤している方に通勤費の一部を補助する新幹線新規通勤費補助金を実施してきました。この制度につきましては、事業予定期限が到来したため、新規の交付申請は、平成20年3月31日までに転入(小田原市住民基本台帳に登録)された方をもって終了しました」と記されています。小田原市企画政策課は、事業を継続しなかった理由を次のように話します。

「この事業には、定住を促進する目的と『新幹線で通えるまち』をPRする意図があり、当時は山手線の車内広告も打ち出して大々的に宣伝しました。実際に転入される方も多かったのですが、補助期間が終わると転居される方も多く、定住にはあまりつながらなかったのです」(小田原市企画政策課)

 市によると、現在は定住を促すというよりも、「まず小田原市を知ってもらい『交流』を促し、その先に『定住』を位置付けた施策へシフトしています」と話します。

 自治体による通勤費の補助は、多くの自治体で期限が最長3年程度に定められていますが、その先の定住が課題かもしれません。

【了】
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