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全国都市間競争の現実Part3
236
:
凡人
:2017/04/24(月) 02:24:09 ID:zq0qT2Q.0
◆周辺の苛酷な競争環境
写真=駅からのアクセスがよいそごう千葉店へ客を奪われた(撮影:尾形文繁)
千葉店の苦戦の背景には、過酷な競争環境がある。1984年の開業時には、房総半島全域が商圏だったが、今や若者や家族連れは幕張のショッピングモールやアウトレット店へと足を伸ばす。
1993年には三越に隣接するビルにあったそごう千葉店が千葉駅前へ移転。新しくなったことや駅からのアクセスがよくなったことで、地元の百貨店愛用者も、三越よりそごうを利用するケースが増えた。さらに、自社の都心大型店もライバルだ。「せっかく三越で買い物をするなら、地元の千葉店ではなく、日本橋店まで行く」(70代・女性)と考える客が少なくないからだ。
地元の中小商店は、三越の退店によって、空洞化が進行するのでは、と悲鳴を上げる。千葉商工会議所の河野功常務理事は、「平日にはまだオフィス需要で人がいるが、土日になると一気に人が減る。採算が取れずに土日休業する店舗が続出し、ゴーストタウン化に拍車をかけている」と語る。三越の近くにある千葉パルコは、11月に退店する。さらに三越も閉店することで、人の流れはさらに悪化する可能性がある。
今年に入ってから、百貨店業界では都心郊外店を閉鎖する動きが活発化している。セブン&アイホールディングスは、傘下のそごう・西武の郊外店計4店の退店を発表。阪急阪神百貨店を運営するエイチ・ツー・オーリテイリングも、大阪市郊外にある堺北花田阪急の退店を決めた。
三越伊勢丹の場合、これまで不振店舗でも省コスト運営を徹底して営業を継続させる方針を取ってきた。2008年に三越と伊勢丹が統合して以降、2009〜2011年に三越6店、伊勢丹1店を閉鎖したが、それ以後は2014年にJR大阪三越伊勢丹を閉鎖したのみ。
だが、郊外店の不振をカバーしてきた伊勢丹新宿店、三越銀座店といった都心旗艦店での業績がここにきて悪化している。2015年度に活況を呈したインバウンド消費が急激に落ちこんでいることが大きいが、主力の衣料品の不振が深刻化していることも原因だ。こうした状況を受けて、従来の方針を変更せざるを得ない状況になったというわけだ。
◆大西社長と社員の間に温度差
足元では、三越千葉店の他にも、伊勢丹松戸店、同相模原店、同府中店が営業赤字。三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長は東洋経済の取材に対し、「成長が望めず、設備投資をかけられないような店舗は、ここ2、3年のうちに手を打たなくてはいけない」と、上記の郊外店の閉鎖がさらに続くことを示唆した。
三越伊勢丹ホールディングスでは、2016年度第1四半期(4〜6月)決算で純利益が前年同期比44%減と、急激な業績悪化に見舞われている。閉店も決まる中、社内では経営陣の間に動揺する動きがみられる。さらに、業績改善に向けて、販売員の業績連動報酬やPB商品の拡充など、さまざまな改革案を繰り出す大西洋社長に、社員が温度差を感じている現状もある。
ポスト大西体制も視野に、大西社長の求心力が今こそ問われている。
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