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全国都市間競争の現実Part3
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:
凡人
:2017/02/20(月) 08:09:05 ID:0ZaqCPPs0
◆集積が進む大宮、中心が移動する柏
もともとのポテンシャルは高い柏駅。東口にはそごうがあるが、9月末で閉店する(筆者撮影)
さいたま市は人口122万人程度、その中で旧大宮市の住民は51万人程度である。一方、柏市の住民は42万人程度。人口では約9万人の差がある。
大宮駅の周辺は市内最大の繁華街としてにぎわっており、東口には多くの店が軒を連ねており、西口は巨大施設が多い。百貨店としては、東口に高島屋、西口にそごうがある。柏駅も西口に高島屋、東口にそごうがあり、この点は驚くほどよく似ている。
しかし、この9月30日をもってそごう柏店は閉店することになった。同店は周辺の商業施設との競争が厳しく、売上高はピーク時の約2割にまで落ち込んだ。駅近くの丸井は「モディ」へと改装中である。
また、柏駅付近の商業施設では書店の減少も目立つ。現在同駅付近にある書店は、駅に隣接したビル「スカイプラザ」内の浅野書店と駅近くの新星堂だけであり、後者は駅から少し離れている。新星堂も、かつては複数フロアあったがいまではワンフロアになってしまった。西口の高島屋内にも書店があったものの、今年2月に閉店した。
一方、大宮駅周辺では西口のそごう内に三省堂書店、東口高島屋内にジュンク堂書店、ルミネ内にブックファーストと、それなりの規模の書店がそろっている。
柏市は、2005年のつくばエクスプレス開通で同線の柏の葉キャンパス駅周辺の開発が進み、同駅前にある商業施設「ららぽーと柏の葉」などが人を集めるようになった。また、この地域に暮らす人も増え始め、郊外を走るつくばエクスプレス沿線に新たな街の重心ができるようになってきた。その他にも、郊外型のショッピングセンターが買い物客を集めるようになってきている。
柏駅の場合、同駅を核としない商業施設が増え始め、それが駅周辺、あるいは駅の中のにぎわいを失わせているように思える。なぜ、大宮は鉄道が強いのか。歴史をたどると、その理由が見えてくる。
もともと大宮駅周辺には、国鉄時代から大宮工場(現在は大宮総合車両センター)があり、鉄道との関わりが深い。また、JR東日本には大宮支社があり、経営上のひとつの拠点ともなっている。大宮には「鉄道の街」としてのアイデンティティがある。むしろ、鉄道の発展にともなって大宮が栄えるようになったという歴史があったのだ。大宮駅の南側で開発が進んでいるさいたま新都心駅周辺も、もともとは大宮操車場だった場所である。
◆大宮は鉄道とともに発展した
さまざまな面で似ている大宮と柏の違いは「鉄道」にあった。しかも、路線環境や運行状況ではなく、鉄道の歴史・発展が街を栄えさせ、求心力を高めていった。
鉄道は、単なる乗り物ではない。人々のアイデンティティの中核ともなるべき乗り物である。大宮という街と鉄道の強い結びつきが大宮を発展させ、活気あふれる街をつくってきた。
大宮と柏は東武野田線によって結ばれている。最近「東武アーバンパークライン」という愛称がつけられた同線は、6両編成の電車がおよそ10分おきに走り、最近では急行運転も一部区間で行われるようになった。
だが、区間によっては単線のところもあり、大宮から柏までは1時間以上もかかる。大宮や柏から都心へと向かう太いパイプと比べれば、細い糸のような路線である。実際には、この二つの駅を結ぶというよりは、大宮や柏へ(あるいは船橋へ)と人を送り込むための役割を果たしているのが同線だ。
対東京の通勤という点でよく似た条件下にある二つの街は、野田線という細い糸でつながっている。だが、その糸を引っ張っているのは大宮のようだ。大宮の強さの背景には、「鉄道」そのものがあるのだ。
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