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高崎の野蛮人たち

13凡人:2012/01/10(火) 12:22:32 ID:qlzPu6os0
 16日午前7時50分頃、4回目の電話。
光則さん「はい、もしもし」
男    「今日の夕方までに1000万円用意しろ」
光則さん「もしもし、わかりません。もう1度お願いします」
男    「また電話する」
 しかし、男からの連絡はもうなかった。荻原家では犯人の指示通りに1000万円の大金をなんとか集めた。
 しかし、最悪の結末を迎える。
 同日午後、自宅から5km離れた寺沢川で遺体が発見されたのだ。

 17日、功明ちゃんの遺体は群馬大学医学部法医学教室で解剖され、首を絞めた跡や、薬物を飲まされた跡がなかったため、生きたまま橋から投げ落とされたものと見られ、死因は砂や水を飲み込んだ窒息死。先に書いたように顎は骨折しており、胃の中はからっぽで食事を与えられた形跡はなかった。死亡推定時刻は15日午前10時以前と見られ、殺害してから身代金を要求する電話をかけていた。

 さらに同日、遺体発見現場から1.5mほど離れた市道沿いの斜面で功明ちゃんの「パーマン」の絵が描かれたサンダルが発見された。もう片方は谷津橋近くで発見されている。
 また19日には、2km離れた藪の中で功明ちゃんの着ていた半袖シャツとパンツを、さらにその2km先で半ズボンが発見された。
 これは犯人が功明ちゃんを投げ落とした後、八千代橋方面に向かいながら車から投げ捨てていたことを意味していた。

【犯人像】

 逆探知の結果、男からの電話は高崎市西部を含む「群馬・長野局」管内からかけられていたことがわかった。また2回目の電話には車の通過音が入っており、公衆電話からかけた可能性が高い。
 しかし、なぜか捜査本部は15日までで逆探知を切り上げている。このため16日の4回目の電話は27秒の長さがあったが、逆探知できなかった。逆探知は捜査員とNTT職員がペアになって行なうが、「逆探知を解除して帰っていい」という指示があり、変に思いながらも従ったという。
 県内で本格的な誘拐事件が起こったのはこれが初めてだったらしく、逆探知の設置にも時間がかかり、2回目の電話には間に合わなかった。

−目撃証言−

 9月8日、功明ちゃんの通う「むつみ幼稚園」で不審な白い乗用車が目撃されていた。車は群馬ナンバーで、リフトバック式、メガネをかけた男が乗っていたという。

 事件当日の14日午後5時ごろ、地神社北口付近に2台の白い乗用車が入り口をふさぐかたちで停められているのが目撃されている。車内に人影はなかったが、家族が功明ちゃんを探し始めた時には消えていた。
 またそれと同じ頃から少し後に功明ちゃん宅から2.3km離れた町屋橋の下、その20分後には管状大橋の下で、子どもを乗せた白い乗用車が目撃された。乗っていた男は40歳前後だったという。

 犯人は電話の声から中年男とされ、身代金の額の決め方などが乱暴で、指示も場当たり的。さらに身代金目的ながら、受け渡し方法は一切指示せず、15日が金融期間の休みのことも知らなかった。これらのことから、計画性が薄く、社会性のない異常性格者による犯行ではないかと見られる。
 3回目の電話で功明ちゃんは「おまわりさんと一緒」と言っている。この取り方は二通りある。荻原さん宅に警察がいるのかを犯人に命令されて聞かされているのか、あるいは光則さんの「誰と一緒なの?」という問いに答えたものなのか。
 捜査本部では後者の可能性も考え、非番中だった身内にまで捜査の手を広げることになった。

 捜査本部は県内の6000人の素行不良者や不良債務者、変質者などを洗ったが、進展はなく、結局2002年に時効成立。戦後の冤罪疑惑事件(狭山事件など)をのぞく、身代金目的の誘拐殺人で唯一の未解決事件である。この間、同県では1996年に太田市で横山ゆかりちゃんがパチンコ店から姿を消すという事件が起こっている。
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