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578凡人:2012/01/20(金) 07:11:21 ID:C/YpDdDY0
富山いずみ粘り及ばず 第89回全国高校野球選手権富山大会

悲願の1勝後輩に託す 富山いずみ・原田主将
2007年07月17日北日本新聞

犠打を決めて、ベンチに戻る原田主将=県営富山

 「野球できる喜び強く」

 県営富山の一塁側ベンチ前で、富山いずみの捕手、原田和弥主将(17)は、涙を必死にこらえながら富山西の校歌を聞いた。原田主将は1年生から野球部創部の中心になり、昨年から主将としてチームを率いたが、とうとう公式戦初勝利をつかめなかった。「勝ちたい気持ちが足りなかったのか」。胸の内は悔しさでいっぱいだった。

 野球少年だった原田主将は高校でも野球を続けようと決めていた。2年前の春、期待を胸に富山いずみ高校に進学し、ショックを受けた。野球部はなかった。

 「野球部をつくらないか」と生徒に声を掛けている教諭の存在を知った。現在、野球部監督を務める林大作教諭(39)だった。すぐに職員室に向い、「野球がやりたい」という思いを伝えた。「新しい部活をつくるのは難しいことだぞ。それでもやるか」と聞かれ、「やります」と迷わず答えた。

 ゼロからのスタートだった。校内で1年生の男子を見かければ「一緒に野球やらないか」と熱心に誘い、中学の同級生ら2人が集まった。正式な部でないため練習場所は限られ、グラウンドの片隅でキャッチボール中心の日々が続いた。それでも、野球ができるだけで幸せだった。

 原田主将の熱意が伝わり、徐々に部員は増えていった。一昨年12月には同好会として認められ、昨年4月、新入生7人が入部し、念願の部に昇格した。

 「出場できるだけで満足だった」という昨夏の富山大会は初戦で石動に1−12で大敗。出場できる喜びは試合後、悔しさへと変わっていた。「絶対に勝ちたい」。大会後、公式戦初勝利を新たな目標に練習に励んだが、今春の県大会も初戦で敗れ、「1勝の壁」を破ることはできなかった。

 16日の富山西戦。原田主将は捕手としてチームを支え、打撃では犠打や安打を放って好機を広げた。

 試合は1点を争う緊迫した展開となり、延長十回表に2点をリードされた。その裏、ベンチ前で組んだ円陣で、緊張する仲間に「楽しもう」と声を掛けた。2点を返す意地を見せ、同点に追いついたが、再び突き放され、1点差で涙をのんだ。

 勝利には届かなかったが、原田主将は「野球ができる喜びを誰よりも強く感じた3年間だった」と振り返った。夢は後輩にバトンタッチした。 (土居悠平社会部記者)


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