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俺は小説家を目指している。
33
:
某経大生
:2004/08/01(日) 21:50 ID:zApANjY2
「つまり、それによって人生に楽観的になれたと?」
「そんなセラピーみたいなことを言ってるんじゃないんだよ。
もっと単純に、そして正直な問題なのさ。僕は死ぬという事実
これだけで十分だということなんだ。それから僕は一切喧嘩を
しなくなった。殴られても殴り返さなくなった。ひどい虐めに
会うようになったが、なんとか耐えた。」
「サティーヤグラハか?」
「そう、非暴力不服従さ。まるで無意味なんだよ、暴力も、示
威も。」
「それで、それと僕と、何の関係があるんだ?」
「君は歳をとり過ぎたのさ。生への執着が消え、ただ研究と指
導の毎日を送っている。若い頃の君は、なにかとりつかれたよ
うな気迫があった。奥さんや子供のこともあったし、生きるこ
とに必死だった。しかし最近の君は違う。自分でもう十分だと
どこかでセーブしているんじゃないか?もういつ死んでもかま
わないと、なにか安泰した気持ちがあるんじゃないか?」
彼は僕の目をのぞきこんだ。僕はすぐに目を逸らして焼酎に口
をつけた。心臓の鼓動が早く感じるのを感じた。こんなにも無
防備だと感じるのは久しぶりのことだった。思い出す、妻から
妊娠したと聞かされたときの衝撃、何も考えられず、妻が無言
で部屋を出て行くのを呆然と見ていた。僕は追いかけられなか
った。単純なオーバーフローだった。二日後、僕は彼女の元に
むかった。一度目は玄関先で彼女の両親に殴られ、惨めな思い
と屈辱を胸に溜め込んだ。泣きたかったが泣かなかった。二度
目は父親が殴ろうとするのを彼女が止めた。僕は少し力を得る
のを感じた。僕は結婚を申し込み、父親は中絶を言い張った。
三度目、僕は死ぬ覚悟だった。ナイフを隠し持ち、父親の前で
断れるとそのナイフで自分の手首を切りつけた。
私は言った。「許して下さるまで、私は自分の腕を切り続けま
す。彼女のお腹の子の命がいなくなるのであれば、僕が死んだ
のも同じです。」何度も手首を切るつける僕に父親は動揺した。
間違った方法だったと思う。僕は父親になる資格なんてなかっ
たのかもしれない、しかし僕はそれを選んだ。僕は生き、妻と
子供と、必死に生きる道を選んだのだ。
時間の流れを感じる。長い月日の潮が一気に満ちてゆくのを感
じた。砂が洗われ、そのしたから隠された星屑の欠片が姿を見
せる。時間の外に取り残された星屑は、空に鏤めてしまえばい
い。悠久の時は未だ僕にその余地を与えている。
「僕はね、確かにもう十分生きた気がするよ。死も恐れる気持
ちがない。昔はこんなことは考えられなかった。」
「君が死んだって、ストックはいくらでもある。」
「しかし、孫の顔が見たくなってきた。」
「僕が代わりに見てやるよ。」
「こればかりは、もう少し僕にやらせてもらうよ。」
サンドウィッチを頬張る。
時計は、もう九時にさしかかろうとしていた。
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