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俺は小説家を目指している。

217イチゴ大福:2005/03/04(金) 20:52:18 ID:5cN.MTjs
前田は次の言葉が見つからなかった。すべての謎が解決したはずなのに、むしろ聞かなければ良かったという後悔のほうが大きかった。この不幸の人に、もはやどんな慰めの言葉も無味乾燥としていた。
「彼女を撃ったとき、すべてが終わったと思ったよ。文字通りだ、すべてが終わったと思った。」
「でも生きている。」
「そう、死のうかとも思ったが、死ねなかった。もう少し生きてみないか、とケルトナーに言われたような気がした。そして、亜季の目が、死を映していた。そこに行くわけには、まだいかないのだと思ったんだ。」
「それでよかったんですよ。」
「認識の問題だ。」
「確認してください、私のいう通りですから。」
「なら信じてみよう。」
買い物をしていた前田夫人が店から出てくると、二人の姿を見つけた。
「ねぇ、あなた、お知り合い?」
前田は気づいて彼女を前に通した。
「佐伯さん・・・・・・でいいですか?」
「ああ、なんでもいいよ。」
「こちら、私の奥さんです。奥さん、こちらは佐伯さん。前の同僚だよ。」
「ああ、あの。どうも始めまして。ちなみにこちらは私の娘のモモです。」
モモの姿を目にとめると、ドイツ人らしい寛容さで、彼は抱き上げ、まんべんの笑みを浮かべた。頬にキスをし、降ろしてやると、奥さんの頬にもキスを送る。それだけで充分だった。あとは、取り留めない、そして、幸福な会話が続くだけなのだから。


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