[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
俺は小説家を目指している。
213
:
イチゴ大福
:2005/03/04(金) 20:46:01 ID:5cN.MTjs
43.混沌の狭間に。
前田は先ほどの痛めた体に鞭打って車に乗り込んだ。
多くの謎は解決しつつあった。
今回起こった事件の大きな問題点は、情報の非対称性と偏在、そして寡占と、未必の悪意によってもたらされたものだった。
情報を歪曲し、操作し、特定の人間が情報を独占することでもたらされた弊害が、事件を長期化し、解決を困難にし、背景を無駄に複雑にしていったといえなくもない。
梧桐冬樹の張り込みは事件の背景を探る大きな助けとなったが、事件との直接的な関係がない以上、意味がないとしかいいようがないのである。ましてや、第三者によって意図的に捏造された現場が存在するというのは、本物であるという前提の現場から先入観を取り去るとすれば、信じる意義すらなくなるのであり、無用な混乱をもたらすだけのものであった。
六年前の事件も、今回の事件も、仕組んだのはやはり志ノ田だった。
彼ら地検の特捜は、彼らのいう“政治的な問題”のために事件をでっち上げた。それが、梧桐冬樹を被疑者にでっち上げたことからもわかるように、代議士である梧桐彦次に関係することは明白だろう。梧桐彦一と根路銘国盛の関係は、いわば、群馬県警と地検の動きを牽制するための手札以上のなにものでもなかったのだ。始めから狙いは梧桐彦次にあり、そのための布石にすぎなかった。おそらく、前田が調査した書類も志ノ田を含め、流れたことだろう。
多くのことが故意に秘匿され、歪曲され、複雑な人間関係のもと事件の全容解明を困難にしているが、地検がなにを企んでいるのであれ、大洗がすでに行動を起こしている可能性は高かった。
先ほど110番通報があったというT経済大学では、守衛が、正門から刃物を手にした女性が入ってきたと通報したとのことだった。その後、十分ほどして、おなじT経済大学から再び110番通報があり、刃物を持った女性が何人か刺して殺したが、銃を持った男性によって撃たれて死んだ、とオペレータ言ったという。
おそらく男性は大洗とみて間違いないだろう。だとすれば、T経済大学に白昼侵入したのは、四季・・・・・・いや、四季を名乗っていた亜季ということだろう。亜季の次の行動が予測できたからこそ、大洗は病院からまっすぐ署に向かい、銃を装備し、そして大学に向かったのだ。
では、大洗は次にどんな行動にでるのだろうか?
前田は彼の思考をトレースしようと神経を集中した。運転中ではあったが、彼の意識はほとんど虚空を彷徨っていた。
“銀の指輪”、“白薔薇の秘密”、“四季の死とその後の六年間”、“亜季に向けた銃口”
そして、その時、看護士が言った“純愛”の一言が思い出された。
それはあまりにも人間的で、泰然とした静寂の調べだった。
「そうだ、警部は亜季を愛していたのだ。愛している人は、もともとそこにいたのだ。」
飛躍する思考、明鏡止水、一滴の雫が前田の中に息づき、一瞬の爆発的な変態を認めた。前田は始めて大洗のことを理解できた心境だった。
「警部は、大洗ケルトナーではない!」
その言葉を口の中で咀嚼し、頭の中で反芻した。
その時、警察無線が入った。大洗宅で火事が発生したとのことだった。前田は回転灯を車の屋根に乗せると、大きく車を方向転換した。
前田には確信があった。
そこに大洗の名を語る何者かがいる、と。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板