したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

俺は小説家を目指している。

204イチゴ大福:2005/03/04(金) 12:00:10 ID:1gws7aYE
「白い薔薇ですか?」
「白い薔薇の花言葉を知ってます?」
前田は知っていたが、話が長くなりそうなので切り上げたかった。
「いいえ。」
そういうが、看護士の話は止まらない。
「“純愛”ですよ。でもね、他にも薔薇は、四季を通じて花のあることから“長春花”とも呼ばれているんですよ。きっと、奥様の名前のためね。素敵だわ。」
「そうなんですか。お詳しいですね。では私はそろそろ。お仕事の邪魔をしてすいませんでした。」
彼は看護士の言葉も待たず、病室を後にした。
薔薇には他にも意味があったはずだ。それは確か、“秘密”だったはず。古代ギリシャ、スパルタ人とアテナイ人がペルシャの王と手を組み、ギリシャを征服しようと、ミネルヴァ神殿にある薔薇の木陰で陰謀したのがその謂れの始まりだと聞いたことがある。
前田は、深読みのしすぎだ、と考えたが、やはり胸騒ぎがしてならなかった。特に、大洗の妻の名前が“大洗四季”であることは、大洗警部が六年前の事件の被害者と関係がある可能性を、もはや否定はできないだろう。天才の名も、名誉も、約束された成功も、すべてを投げ打ってまで駆り立てた衝動が何なのか、まだそれは謎だが、その謎が薔薇に秘められたものだとすれば、やはり大洗は事件に関係しているはずだ。しかも、四季は白血病だったのだ。
しかし、大洗四季はどこに消えたのだろうか?末期にあって、もはや動くことすら思い通りにならないはずだ。まさか、六年前の復讐にでかけた?佐伯亜季の実の姉だとして、四季は重病の体を引きずって復讐にでたというのだろうか?それは飛躍だ、と思い直す。
謎を抱えながらも、前田はいったん署に車を走らせた。会議室に戻ると、所轄の松山刑事とすれ違った。
「あれ、前田君じゃないか?」
「どうも、お疲れ様です。」
「君、大洗警部といっしょじゃないのか?」
「ええ、今日から奥さんの看病で休みだそうですよ。」
「そうなの?あれ、さっき見たけどな。」
「見た!?どこでですか?」
前田の鬼の形相に一瞬たじろぐ。松山は暑苦しいような表情で前田を見た。
「保管庫だよ。なにか忘れものじゃないのか?」
最後まで聞かず、保管庫に急ぐ。記帳をみると、確かに一時間程前に大洗が入っていた。持っていったものは「書類」とあるが、前田は不安を感じていた。中に入り、押収した武器などを保管している金庫に向かう。予想通り、扉が開いていた。すぐに管理帳を取り出し、金庫の中を確認する。予想通り、オートマティックのハンドガンが一丁と弾薬がカートンごと消えていた。オーストラリア軍が正式採用しているグロックだ。軍用拳銃だけに火力は、警察官が携行しているニューナンプとは比べ物にならない。
「誰かを、殺す気なのか?」
大洗は誰かを殺そうとしている。六年前の事件の真犯人を見つけだしたのか?しかし、志ノ田が仕組んだブラフの可能性は、志ノ田が大洗を利用しようとしていることを否定できない以上、鵜呑みにはできない。だとすれば、大洗が早まらないよう止めなくてはならない。
しかし、いったい大洗はどこへ行ったのだろうか?そもそも、消えた妻を捜しに出たはずの大洗が、なぜ武器を用意しなくてはならなかったのか、疑問は残る。
この疑問の答えを知っている人物がいるとすれば、それはただの一人だろう。前田は思った。この事件は、すべて志ノ田につながっているのだ。
「志ノ田に訊くしかない。」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板