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俺は小説家を目指している。

202イチゴ大福:2005/03/04(金) 11:57:40 ID:1gws7aYE
38.トポロジカルにラジカル、クリティカルにシニカル。
前田は陸運局でナンバを照会し、FTOの男の氏名を突き止めた。男の名前は佐久間武志。今度は大学に向かい、佐久間武志が学生かどうかを照会してもらう。事務職員は、前回の応援団長の件と同様、やはり怪訝そうな表情で対応してくれた。いっしょに、六年前の同窓会の卒業名簿を借り出し、熊田孝治の住所を突き止めた。県内の銀行に就職しており、勤務先を割り出すのは難しい作業ではなかった。
どちらからあたろうかと考えたが、まずは梧桐冬樹と佐久間武志の関係を洗い出す必要があった。梧桐冬樹が悪意の何者かに利用されているとすれば、今回のT経済大生の殺人事件の一翼を担っているのは、なんらかの関係のある佐久間である可能性は高い。そして、六年前にその役割を担ったのが、熊田孝治という按配だ。
前田は、今朝方追跡したアパートの前に再び舞い戻っていた。
今朝とは違い、今度はこそこそする必要はなかった。車を降り、アパートの階段を上る。表札を確認してインターフォンを押した。出てきたのは、昨夜の男で、寝起きらしい不機嫌な顔をしていた。
「誰?」
「警察の者です。」
「警察?もう渡すもんは渡したでしょう?」
前田は口から出かけたクエスチョンマークを飲み下した。変だ、前田以外に梧桐冬樹を張り込んでいる刑事はいない。それに何を渡したというんだ?前田は芝居を打つことにした。
「いや、もう一つほしいと上の者から言われましてね。ありません?」
佐久間が怪訝な表情をする。
「あんなもん二つも取っておくかよ。一回だけって約束だろ?あんたら国家権力を傘にまた脅す気?」
一回?脅す?いったい警察の誰が佐久間とどんな取引をしたのだろうか?おそらく、悪質なスピード違反か酒気帯び運転を見逃す代わりに、それをしろと命令されたのかもしれない。それが梧桐冬樹と関係があるのだろうか?だとすれば、警察内部の誰かが梧桐冬樹を追っていることになる。
「まぁ、無理にとはいいませんがね。しかし、そんなに大変なことでもないでしょう?」
前田の足はすでに扉を固定していた。一歩前に踏み出すと、佐久間はたじろいで身を引いた。「警察が民間人を脅して何かをさせている?」そう考えると、忸怩たる思いで情けなくなったが、それが何なのか、その疑問が彼に演技を続けさせる勇気を与えていた。
「分かってるでしょう、自分の立場?」
佐久間は大きく舌打ちすると、「分かったよ。」と小さくいい、手を出した。
握手かと思い、差し出した手を握ろうとすると、佐久間はそれをはねのけた。
「金だよ金!早く出せよ。」
「金?」
「奴の体を買う金だよ。それがなくちゃサンプルなんて取れねぇだろ!?」
前田の脳に衝撃が走った。目まぐるしく情報が駆け巡る。絡まった糸がほぐれ、一つの糸になっていく。まだ完全ではないが、それでも大方のピースは組みあがった。
六年前、梧桐冬樹を犯人に仕立て上げたのは、志ノ田悟郎を始めとした警察だったのだろう。熊田を、佐久間と同じように落とし入れ、そして体液のサンプルを取るように仕向けた。六年前の事件ではそうやって手に入れたサンプルを使い、現場に残したのだろう。志ノ田悟郎は始めから現場を仕立て上げていたのだ。今回の事件ではそれが何のために必要なのかはわからないが、警察が裏でなんらかの作意を巡らせていることは確実だ。梧桐冬樹はやはり利用されていた。
「いくらかな?」
「五万。」


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