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俺は小説家を目指している。
198
:
イチゴ大福
:2005/03/03(木) 15:10:51 ID:4uwDCqB.
36.不連続の要請。断片化された意思の表層。
寝不足と仕事の疲れを抱えたまま、監視を続けるというのは蛇の生殺しにも似た辛さがある。前田はガムを噛みながら、眠りを求める体を叩きつつ、梧桐冬樹が入り込んだ部屋を監視していた。時刻はもう午前五時にさしかかろうとしていた。頭はぼんやりとして、腸は消化不良を起こしている。一時間でも寝れば違うだろう、しかし、被害者の拡大をこれ以上許すわけにはいかないと思うと、とても寝る気にはなれなかった。結局、今か今かと待ち続けるうちに、もうすぐ夜明けである。前田はもはや、昏睡してもおかしくない、と本気で考え始めていた。
「全部、梧桐冬樹のせいだ。あいつさえいなければ・・・・・・。」
もはや親の仇だとも言わんばかりの調子で、前田は瞼の裏にうつらうつらと浮かぶ梧桐冬樹の虚像を睨んでいた。しかし、鼓膜を震わせるエンジン音で、それが虚像でないとわかる。前田の意識は彼岸から引き戻され、緊張とともに意識が覚醒していった。駐車場から黒のFTOが出る。前田は五秒待って、イグニッションを回した。梧桐の家を出てから約四時間、FTOの男のアパートで何があったのかはわからないが、ナンバは控えてある。道路をいっぱいに使って方向転換すると、アクセルを踏み込んだ。
これまでの犯行時間は深夜から朝方にかけて。これから二人が犯行にむかう可能性は充分に考えられた。しかし、それと同時に疑問が生じる。
「いったい、梧桐はいつ寝ているんだ?」
アメリカに一度も寝たことがない人がいた、という話は聞いたことがあったが、そんな人間は稀な特異体質に違いないはずだ。それとも、若いということなのだろうかと、いつもより更にハンドルを握る手が慎重になっている自分を呪う。
黒のFTOは来た道を戻り、経大通りを抜けて十八号に入った。梧桐を送る気なのだろうか?だとしたら、もう“用事”は済んだことになる。いったいあの部屋で二人はなにをやっていたのだろうか?
徐々に空が明るくなっていくのが分かる。薄明かりにぼんやりと白衣観音の姿が浮かび上がっていた。
結局、黒のFTOは梧桐冬樹の自宅のそばで彼を下ろすと、そのまま走り去ってしまった。梧桐の表情を読み取ることはできなかったが、そのまま自宅に入っていったことから、今日はもう何もないのだろう。二人の関係が共犯であるとすれば、今朝未明の密会は、ただ犯行計画の打ち合わせをしていただけかもしれない。誰を、どのように殺し、どう意味づけるか、奸計を巡らしていたのかもしれない。とすれば、まだ今後も犯行を継続するつもりなのだろうか?
もはや帰宅しても、仮眠をとる時間もないと判断した前田は、そのまま署に車を走らせた。夜勤の警官が彼の姿を目に留める。
「前田じゃないか。張り込みか?」
「ああ、ちょっとな。お互いご苦労様だな。これから少し寝るよ。」
「県警に行ってから忙しそうだな。会議室、まだ誰も来てないから使えよ。」
「おお、悪いな。」
前田は会議室に向い、ソファに体を沈め、毛布を被ると目を閉じた。室内は寒かったが、気にはならなかった。しかし、いざ目を閉じても、一向に眠れる気配はなかった。
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