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俺は小説家を目指している。

192イチゴ大福:2005/03/01(火) 11:18:29 ID:JhNqU1Yk
「他の意味だと?」
志ノ田が振り返る。喰い付きのよさに大洗は一瞬たじろいだが、食わせ物の志ノ田だ、弱みを見せるわけにはいかない。すぐに威儀を正した。
「ほら、手元。まだ出てるんだろ?」
「ああ、そうだった。・・・・・・他の意味とはなんだ?」
「例えば、苗字が“A”で始まる学生を狙っている。ターゲットの情報が少なく、そのイニシャルは知っていたという場合、犯人が若い番号だけを狙ったのも納得がいく。」
「無茶な。暴論だ。」
「まぁ待て。犯人がファイの証人だという点に疑問を持ったのはその点だ。確かにあんたの言は筋が通っている。しかし、あてつけの感が強い。だが殺人事件そのものを見てみれば、ある番号より若い番号の人間を片っ端から殺していることになる。」
「では訊くが、“K”で始まる人間も殺されているが、それはどう説明する?」
「ブラフだ。今回の事件では、犯人が被害者に気取られてはまずい何かがあるはずだ。」
「それで、ファイの証人の犯行ではないと言いたいのか?」
「そうは言ってない。慎重なだけだ。」
「まぁいい。とにかく渡すものは渡したぞ。俺はそろそろ帰る。」
志ノ田は席を立つと、店員を呼んでバスケットの玉を精算させた。帰ろうとする大洗を、志ノ田は呼び止めた。
「・・・・・・あ、そうだ。お前のカミさんの妹に、なにかお土産やるよ。少し待ってろ。」
大洗は手を振る。
「今、入院しているんだ。」
志ノ田の目が険しくなる。
「どこが悪いんだ?」
「何の因果か、白血病だ。」
「そうか・・・・・・まだ刑事は続けるのか?」
「ああ、そのつもりだ。」
「そうだな、六年も待ったんだ。・・・・・・呼び止めてすまなかったな、お大事にしてくれ。」
大洗はうなずくと、その場を後にした。志ノ田は店員のやけに明るい声質にイライラしていた。
「難儀な奴だ。」
そう呟いた志ノ田の声は、喧騒と精算機に呑み込まれ、掻き消されていった。


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