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俺は小説家を目指している。
190
:
イチゴ大福
:2005/03/01(火) 11:16:19 ID:JhNqU1Yk
31.警部の休日。
金属同士の激突音と耳鳴りにも似た電子音がホールを包み込む。平日の昼間だというのに、多くのオジサンたちの熱気とタバコの煙に満ちたパチンコ店は、その喧騒が証拠であるといわんばかりの音量を垂れ流し、店内を活気づけていた。
パチンコのパの字すら興味のない彼には、この喧騒は害悪以外のなにものでもなく、小さな台を何時間も真剣に見つめ、微塵とも動かない彼らの思考回路を、人間のものと疑わずにはいられなかった。それと同時に、他にすることはないのかと、その場にいる人間たちの平和と幸福の意義を自問いしてみるのだった。
ホール内の無秩序な喧騒とは逆に、秩序正しく一列に整然と並んだ座席の中に、彼の求める姿があった。ハンチング帽を被り、サングラスをかけてはいるが、年は初老の男性だとすぐにわかった。年相応の白いものが混じった髭と深い皺が、体全体から年齢だけでない、何かを感じさせる雰囲気を滲み出していた。
隣の座席に座る。男の手元は銀のパチンコ玉にあてがわれていたが、すでに心もとなく、男もそれには気づいているらしく、大きく溜息をついた。
「はぁ、駄目だな。また持っていかれた。」
「俺のを使ってくれ。どうせやったことなんてないんだし、つい居心地が悪くて買っただけなんだ。」
そういうと、初老の男に玉の入ったバスケットを渡した。
「すまんな。」
再び勢いよくパチンコ玉が飛び出した。
「こんなもののどこが面白いんだ?時間の無駄だ。」
「休日という広大無辺の無為の時間を使って、せっせと資産形成に励んでるんじゃないか。何が無駄なものか?」
「効率が悪すぎる。取るより取られる額の方が多いだろう?収支計算をした上での結論か?」
「今月はプラス二千円だ。だが、たった今一万呑まれたから、収支はマイナス八千円だ。」
「どうやら、順調に資産を形成してるのはパチンコ屋のほうだ。」
「まぁそういうな、人生いろいろ経験したほうが、年を取ってから俺みたいに伯がつくんだ。ところで、事件のほうはどうだ、大洗?」
大洗は緩慢な反応を見せた。しかし、視線は厳しさを増していた。
「今のところ事件に進展はない、志ノ田さん。」
志ノ田と呼ばれた初老の男性は、一瞬大洗を見たが、すぐに台に向き直った。
「そうか。梧桐の件はどうなっている?」
「今組んでる奴に当たらせている。」
「前田とかいったか?所轄から引き抜いてきた奴だろ?どうだ、使えそうか?」
「面白いやつだ。それによく働く。今時あんなに仕事熱心なやつも珍しいし、それなりに頭も働くようだ。」
「それは結構なことだ。松山や齋藤も捜査に加わっているのか?」
「ああ。まぁ、齋藤は頭に血が上って、「あいうえお事件」の名前を捜査会議で出してしまったがな。あいつはいつか脳溢血で死ぬぞ。」
「違いない。しかし、梧桐彦一は遅かれ早かれ、いずれは突破しなければならない障害だ。問題はないだろう。」
当たりを知らせるシグナルだろうか?台に設置された電飾が激しい電子音とともに点滅を始めた。台の中にある小さな液晶パネルのアニメーションが動き始めたが、大洗には意味がわからないし、知りたいとも思わなかったので、すぐに目を逸らした。
「特捜はどう睨んでいる?本当に“ファイの証人”の犯行だと?」
「ん?なぜだ?」
「少々気になる節がある。」
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