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俺は小説家を目指している。
188
:
イチゴ大福
:2005/02/28(月) 12:49:11 ID:Mo5eFkiY
「はぁ?いったいどうしたんです?」
「ああ、うちのかみさんがさ、倒れちゃってさ。さっき電話があったんだよ。お互い近くに身内がいるわけじゃないから、俺がついていなくちゃならなくてな。」
日頃自分のことをあまり話さない大洗だけに、前田には妻の話をする大洗がどこか微笑ましく、そして失礼な話だが違和感を感じずにはいられなかった。曲りなりにも西欧の血が流れているのだ、遺伝子だけでなく、愛妻家の伝統や文化も受け継いでいるのかもしれない、と前田は柄に合わない大洗の愛妻ぶりを想像して噴出すのを堪えた。
「この忙しい時期に悪いな。あいつはけっこう丈夫なほうだとは思ってたんだけどなぁ、やっぱり女性の更年期っていうの?恐いらしいんだ。お前も、あの何とかってモデルに似てるかみさん、気をつけろよ。」
「私の妻はまだ更年期の心配なんてありませんよ。それより早く帰ってあげたほうがいいんじゃないですか?」
心配する前田をよそに、大洗は平然としている。
「ああ、大丈夫。もう病院のベットにいるらしいんだ。着替えとか届けないといけないから、定時には帰るけど、ほんとに悪いな。」
「病院にいるなら大丈夫なわけないじゃないですか!とりあえず、あとは私が引き継ぎますので、お大事にしてあげてください。梧桐の張り込みも継続しますから。」
「ああ、頼む。無理だけはしないでくれ。」
前田は実は、大洗に単独行動の許可を求める心積もりでいた。調査をするにしても、大洗に関係がある可能性がある以上、やりにくいことはこの上ないだろう。そこで、ファイの証人とT経済大殺人事件との関連性を調査するのに時間が欲しい、というのを口実に、一時コンビを解散することを提案するつもりでいた。それが、大洗の家庭の事情でまったくの徒労に終わってしまったというのは、大洗に余計な不信感を与えないで済むという点では幸運だといえるが、しかし大洗が事件と関係あるとして、この時期に妻が体調を崩したから仕事を休むということは、やはり元々大洗は、事件とは関係がないのでは、という考えが擡げ、早くも彼の推理の一部が否定されたことに、安堵とも無念ともつかぬ心境でいた。
「おい、前田。なんだか元気がないな?寝不足で疲れがでてきたか?」
「いえ、事件のことをいろいろ考えていて、ぼぅっとしてました。」
「まぁ、明日からしばらく俺はいないんだ。お前の頭と足が頼りだからな。ヘマするなよ。」
ずいぶん身勝手な人だ、と思いながらも、三年間ずっとそうだったじゃないか、と改めて思い直し、やはり警部のようにはいかないと気づいた。
「自信がなくなりました。」
「お前が馬鹿みたいに自信満々でいるよりはいい。いつもどおりやれ。」
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