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俺は小説家を目指している。

183イチゴ大福:2005/02/27(日) 13:02:13 ID:ica9eRow
27.渇望する肉体、枯渇した精神。Fanatic for the fantastic. ⑦
「しかし、梧桐冬樹と熊田孝治につながりがあるとして、六年前の事件では名簿はなんの役にもたっていませんね。むしろ、パンフを見たかぎりでは教団の犯行であるほうが納得できます。」
「教団の仕業に見せた犯行だったんだ。まぁ、名簿が意味を持つのは今回の事件くらいだろうな。」
「梧桐冬樹はあくまで、教団の思想や行動を真似て犯行を行ったと?」
「それ以外に考えられないだろう?当時、梧桐冬樹がやったという証拠はでていたんだ。」
前田はしばらく口を閉ざした。運転中に考え事をするのは、彼には珍しいことだった。頭の中で澱となって引っ掛かっているものがなんなのかを、彼は理解しようとしていた。
事件が発生してからまだ一週間と日は浅いが、調べれば調べるほど、次々と現れる、隠された事実と、その遠からず浅からぬ関連性との折り合いがつかないでいた。
どこまでが必要な情報で、どこまでが必要でない情報なのか、前田は寝不足の頭をフル回転させていた。
「結局、六年前の事件はなんだったんでしょう?T経済大の名簿が六年前の事件と関係がない以上、当時の応援団長、熊田孝治との関係も無意味です。しかし、今回の事件では、やはり熊田が梧桐に名簿を渡している可能性があります。喜多川の件でもそうですが、犯人が男である可能性、そして、名簿が大学外部に流出している可能性から、やはり梧桐と熊田の関連性は濃厚です。では、六年前から続く熊田と梧桐の関係とは一体なんだったんでしょう?
単純に肉体的な関係だとしても、梧桐が六年前の犯行当時から熊田と関係を持っていたというのは、なんだか出来過ぎたことのようにも思えます。まさか、今回の事件は六年前から計画されていたもの、だとは考えにくいですし。」
「現象は結果の総合として知覚しえる情報の表層というだけのものだ。偶然の可能性というのは必然の寓意ではない。しかし、事件がまだ全貌を見ていない現状において安易に結論を導き出すことは非常に危険だ。まぁ、考えられるだけ考えろ。考えるだけなら罪にはならない。」
「しかし、ここまで証拠を隠蔽できるものなんでしょうか?六年前は毛髪から体液まで残していた奴です。それが、今回は現場にしても証拠にしても、まるで別人のような気が・・・・・・。」
そこまで話して、所詮、何一つ手がかりがない原状では水掛け論にすぎないと思い直し、言い留まった。
「梧桐冬樹が六年前の事件で、教団の犯行に見せかけて犯行に及んだとすれば、教団の教義にある陰陽五行説に則った法則性を模倣したものだというのは納得いきます。しかし、今回はそうした様子はありません。手足に二十箇所以上の刺し傷と、心臓への致命傷。何か意味があるような気がするんですが、まるでわかりません。
それに、六年前の事件で藍沢春子が殺されたのは、非常に宗教色の濃い意味合いがあると思うんです。つまり、名前にしてもそうですが、名前に季節が入っていること、そして彼女の病気。尚且つ、彼女自身が教団のメンバでした。
被害者がどんな気持ちでファイの証人に入信したのかは、察するところがあります。夫人の話からも、それはうかがい知れるところです。夢や希望を断たれたような、ひじょうに困難な心理状態だったでしょう。まさしく藁にも縋るような思いではなかったでしょうか?抗癌剤のために苦しむ毎日、友人も死に、悲しむ間もなく自分も死の恐怖に晒されている。藍沢春子はもう自棄になって、ファイの証人に入信したのかもしれませんね。」
「で、何がいいたい?」
「ふと思ったんですが、藍沢春子は自分から進んで殺されたんじゃないでしょうか?つまり、現実にもう治る見込みがないのなら、あの世とか、来世とか、そういうものがあることを信じて、何か宗教的な儀式に参加した結果、六年前の事件のようなことが起こったんじゃないでしょうか?つまり、全員、宗教的、信仰上の問題で死んだんじゃないでしょうか?」


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