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俺は小説家を目指している。

179イチゴ大福:2005/02/26(土) 11:59:25 ID:D0p7jBWY
25.突撃!前橋の昼ごはん。Fanatic for the fantastic. ⑤  
県庁所在地でありながら隣接する高崎市に新幹線や在来線などの、北陸地方や北関東各地への足を含め、商業基盤を奪われた形の前橋市は、高崎市とは歴史的にも非常に根深い“関係”をもっており、その人口規模や産業形態も非常に良く似たところがある。ただし、やはり両者の一筋縄ではいかない“関係”は、第三者から観るものとはまた異なり、前橋と高崎、両市の異質性を強調するともに、言葉尻には決まって「うちのほうが良さげだんべぇ!」と上州気質を顕にする。
前田もその一人であり、彼の父がM工科大学の教授であることからも分かるように、前橋出身者である。利根川にかかる群馬大橋を渡ると、左手に見えた県庁を眺めて満足そうに微笑む。
「やっぱり前橋はいいですね。」
「お前はT経済大のOBだろ?」
「それとこれとは別ですよ。なんていうか、風情があるじゃないですか?」
「風情だぁ?」
大洗は車内から商店街を見渡した。平日の昼だというのに人通りは少なく、自動車の交通量も少ない。ケヤキ並木が整備された綺麗な道路だとは思うが、鬱蒼と光を遮るその姿はどこか寂しげだ。大洗はそれでも満足そうな前田を見て返す言葉が見つからなかった。
機嫌の良い前田と、そんな彼に一抹の不安を抱える大洗を乗せた車は、正午を少し過ぎた頃、藍沢由布子の実家に到着した。
県内有数の製造業社の会社役員という藍沢由布子の父、藍沢満寿夫は、国内製造業が不況に見舞われている経済状況をものともせず、好調な業績を堅持していた。前田は、そんな藍沢の成功の象徴ともいうべき巨大な注文住宅を眺め、溜息をついた。
「やはり会社役員にもなると、給料もいいんでしょうね?」
「お前もぼんやりしてないで、給料分は働け。」
「もっと貰っても罰はあたらない働きはしていると思いますが・・・・・・。」
大洗はインターフォンを押す。「警察のものですが」そういうと、すぐに玄関から中年の女性が現れた。汚いものを見るような目は警察を軽蔑しているのだと察することができた。
「この度はたいへんご愁傷様でした。」
「警察の方にはもう何度も同じことをお話いたしました。これ以上お話するようなことは・・・・・・。」
「六年前に被害に遭われた春子さんは、あなたの実のお子さんですよね?」
女性の顔に変化が現れた。明らかに驚いている顔だった。
「え、ええ・・・・・・義弟夫婦に聞いたんですね?で、どんなご用で?」
「春子さんは生前、ファイの証人という宗教団体に所属していらしたと伺いまして、少しお話をと思い、ご迷惑も顧ず、お邪魔いたしましたもので。」
「ああ、そのことですか。・・・・・・当時だって、あいつらが怪しいって言ったのに今更!・・・・・・いえ、ごめんなさい、ちょっとイライラしていて。・・・・・・立ち話もなんですから、どうぞお上がりください。」
柵を開けて中に入る。夫人に誘導され、客間に通された。ソファとテーブルがあり、壁にはいくつか絵画が見られた。
「高そうな絵ですね?」
「イミテーションだ。十八世紀のフランドル派が好みらしい。悪い趣味じゃない。」
「警部、絵も詳しいんですか?」
「嗜みだよ、た・し・な・み。」
そういって皮肉な笑みを浮かべる。三年の付き合いになるが、相変わらず喰えない人だと前田は思う。
しばらくして夫人が茶菓子と緑茶を持って客間に姿を現した。
「どうぞ、お構いなく。」


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