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俺は小説家を目指している。

174イチゴ大福:2005/02/23(水) 18:44:51 ID:ica9eRow
22.七人目の理由。空間的非整合性と知覚的不合理性。Fanatic for the fantastic. ②
二月七日早朝、七人目の被害者が大学キャンパス内で発見された。キャンパス内の清掃を委託されている業者の従業員が、業務中に発見し、110番通報した。
「午前二時まで自宅近くで張り込んでいたのですが・・・・・・。」
前田は言葉を噤んだ。言葉が出なかったのだ。それを大洗が宥める。
「気にするな、職務中ではなかったんだしな。それに、お前はろくに寝もせずによくやってるよ。」
「いいえ、どうせ今日はもう動かないだろうとたかをくくってた自分の責任です。」
「朝の七時半にでて、帰ってきたのが夜の十時過ぎだろ?そう考えるのは普通だ。完璧にこなそうとするな。うざい!」
大洗が突然切れるのは珍しいことではないし、前田も決して驚かない。ごく当たり前のことだった。前田は気を取り直して話題をかえることにした。
「わかりました。しかし、キャンパス内とは犯行が大胆になってきていますね。」
前田がいう。大洗は憚ることなく大きな欠伸をしていた。事件よりも眠気のほうが重要らしい。
「ひと気がないからな、あそこの付近は。むしろ、どうやって真夜中にキャンパスに呼び寄せたのか、そっちのほうが疑問だ。」
「そうですね。知り合いの犯行でしょうか?」
「事件が相次いでいるんだ、いくらなんでも警戒くらいするだろ。よっぽどのっぴきならない事情があったんだ。」
「では、警部は、今回の犯行はゴーストの仕業ではないと考えているんですか?しかし、のっぴきならない事情といっても、・・・・・・まさか、弱みを握られていたとか?梧桐の件じゃありませんが、K大学ならまだしも、T経済大学で裏口入学なんて意味がないと思いますけど。」
「奴の犯行かどうかは現場を見ればわかることだ。それに、人に知られたくないことなんていくらでもあるもんだろう?」
「警部はどうです?人に知られたくないことって、やっぱりあるんですか?」
「秘密というのは、秘密があると知られた時点で既に秘密ではなくなる。」
「なるほど、それはいえてますね。しかし、警部は、私にいわせてもらえれば、警部のことをほとんど知らないので、秘密というより謎の存在ですよ。」
「ミステリアスで結構じゃないか。」
そういって笑う。
謎というのは疑問が表面化することでのみ生じる限定的な現象であるといえる。
前田の疑問であった、大洗警部は結婚しているのか、という疑問は、彼の指に輝く銀の指輪によって解消された。知ろうと思えばいつでも知りえた事実。今まで疑問に思わなかったのは、それが知る必要のない情報だったからかもしれない。
「じゃ、なんで今頃必要になったんだ?」
それは、前田にとっての新たな謎であった。
謎は解決しないことによってのみ不合理であると認識される。つまり、結果さえわかれば納得はいくものだ。
そう考えて、自分がなんて当たり前のことをいっているのだろうかと頭を振った。
「私たちの仕事は謎を解決することです。」
「おいおい、俺のプライベートは解決しなくていいぞ。」
現場に到着するとすでに所轄の刑事がたむろっていた。現場は図書館入り口の目の前だった。前田は、大胆にもほどがある、と思いながらも、やはり自分があのとき・・・・・・、という思いで苦虫を噛み潰した面持ちだった。
現場には、三件目の荻野悠貴の事件で会った松山刑事と、一昨日の捜査会議で「あいうえお事件」との関連性を指摘した報告をした刑事もいた。


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