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俺は小説家を目指している。

167イチゴ大福:2005/02/19(土) 17:02:06 ID:UJ1is712
「ふんふん、こりゃ確かにパラノイアの犯行だな。内容はお前がまとめたのか?」
「そうだ。それがどうした?」
「なるほど、どおりで。お前の頭の中ではすでに事件が硬直化してるんだ。まとめかたはさすがだよ、うまい。しかし、事件に関する先入観・・・・・・つまりお前の考えや推論が多すぎる。」
「いろいろな意見がある。私一人だけの考えじゃない。」
「そうだろうとも、だからこそ事実を認識する必要がある。誰が、いつ、どこで、どのように殺されたか。犯人像に余計な先入観を与えないためにもな。」
「お前は同僚のようなことを話す。」
「え?」
「今コンビを組んでる警部がいるんだが、その人も同じことをいっていた。犯人が証拠も痕跡も残さないから捜査員は犯人をゴーストと呼んでいるんだけど、「犯人像をいたずらに歪曲するだけだ」といってたしなめられた。まぁ、どこまで本気かわからないような人だけど。」
「面白い人だ。お前にはそれぐらい冷めた人でちょうどいいよ。」
そういって再び資料に目を落とす。
「六年前の事件、これは被害者の苗字があいおうえお順に殺されているからそう呼ばれるようになった。一人目の被害者は藍沢春子、二人目は井ノ頭夏美、三人目は鵜飼秋子、四人目は江合美冬、五人目は・・・・・・不明?どういうことだ?」
「分からないんだ。警察の資料室にあった資料なんだが、五人目の被害者の資料が欠けていた。」
「他には?」
「梧桐冬樹の調書も消えていた。」
「それは誰の仕業かは容易に想像がつくな。しかし、警察の資料だろ?外部の人間が持ち出すとは考えにくいな。梧桐冬樹の資料といっしょに持ち出したケースも考えられるが必然性がないし。」
「警察の中に,誰か五人目の被害者の調書を隠さなければならない人物がいたということか?」
「そう考えるのが自然だろう?」
「しかしなぜ?被疑者の調書を隠したり、盗み出したりするのならわかる。警察のデータベースに個人データを残したくないと考える人間もいるだろうし、または被害者の遺族が被疑者に復讐するために、被疑者の住所を知りたいと考えるかもしれない。しかし、被害者の名前は新聞にも載るから、隠そうと思っても事実上隠蔽することはできない。それに、例え住所を変えても、必要とあれば、裁判所に令状を申請して、合法的に住基ネットにアクセスし、検索することだってできる。」
「まじめな顔でよくそんな恐いことをすらりといえるもんだな。この国にはプライバシーというものがないのか?
しかし、お前のいうことももっともだ。だが、一つお前は見落としていることがある。」
「え?」
前田はわけがわからないというように六年前の事件の調書を手に取る。
「何を見落としているんだ?」
「名前だ。」
「名前?・・・・・・まさか、名前に季節が入っているということか?」
「犯人はなかなか風流な奴らしいな。」
「なんだ、頭が混乱してきたぞ!犯人はあいうえお順に殺してたんじゃなかったのか?」
「その可能性に境界条件を与えることで、なぜ五人目の被害者の調書がないかという疑問に根拠を与えることができる。」
「五人目の被害者は、初めからいなかったということか?」
唖然とする前田を尻目に、間良の手は前田の手付かずの杏仁豆腐に伸びていた。


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