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俺は小説家を目指している。

161イチゴ大福:2005/02/18(金) 13:10:10 ID:Ts3L3Et6
約四十分ほどで東京駅に到着した。上野から徐々に景色が東京のものに変化していくと感じる。それはテレビで見るような“綺麗な街”というよりは、どことなく色褪せ、草臥れた、昔ながらの下町の風情のようなものだと感じた。
東京駅から満員電車の山手線に乗り、渋谷で東急東横線に乗り換える。それから五十分ほど電車に揺られ、日吉駅で下車した。時刻は九時三十分を少し過ぎたところで、すでに都を抜けて神奈川県横浜市に入っていた。
東京の大学だと思い込んでいた彼には予想外の出来事だったが、むしろ出費のほうが予想外に大きくショックも大きかったことだろう。下車してからの前田の目は寝不足もあり、血走っていた。
尾行の末、梧桐冬樹が入っていった先を確認した。K大学日吉キャンパスだった。
学歴に疎い前田でも、K大学が有名私立大学であることくらいは知っていた。
前田は正門で梧桐を見届けると、近くの喫茶店に入って朝食をとることにした。注文が出来上がるまでの間、もってきた十二インチのノートパソコンを立ち上げ、ネットに接続する。公衆無線LANがまだ一部の施設でしか利用できないので、彼は外でネットを利用するときはPHSを使用している。
“K大学日吉キャンパス”と入力してグーグル検索にかけた。千件近いヒットがあった。
最初のページを開くと、日吉キャンパス内に設置されている学部が目についた。
“文学部/経済学部/法学部/商学部/医学部/理工学部”
いずれかの学部に在籍しているのは確かだろう。しかし、警察であることの身分を隠匿して身辺調査をするというのは非常に困難なことだった。下手をすれば捕まってしまう危険も伴うし、こちらの正体を知られる可能性もある。それだけは避けねばならなかった。
ある程度容認された非合法活動というものは、事実が潜在的に内在するという不確定的核心にあってはその根拠となる核心を得るという目的のためによってのみ容認されるという、シーケンスレヴェルにおける一種のパラドクスが認められる。それは一種黙殺された真実であり、といって必要悪と認識される可能性でもある。六年前、「あいうえお事件」の捜査員が核心に辿りついていながら、最終的な説得の手段として用いたのがそれだった。
「正攻法で落とせる敵じゃない。」
大洗の言葉が彼の脳裡の甦る。
前田はできたてのオムライスが運ばれると、ブラウザを閉じた。
「今は食べよう、食べれば決断と行動のための“力”が得られるはずだ。」ラガーマンらしい根気強さで、彼は自分を押さえつけるように無心にオムライスを頬張った。調理場に立つおじさんと、ウェイターをしていた若い女性は、それを物珍しそうに、誰憚ることなく見入っていた。


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