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俺は小説家を目指している。
156
:
イチゴ大福
:2005/02/17(木) 12:22:54 ID:hIJaz5AI
12.事実と過去と予測の誤差。 Guest in crime scene. ①
早引けしろといわれたが、シフトでは前田は午後から明日一日が非番になっていたので、誰にはばかることなどなかった。前日は徹夜で張り込みをしていたのだから当然といえば当然だが、最近は凶悪事件の増加に伴い人手不足も慢性化していたことは確かで、非番にかかわらず出勤など日常茶飯事だったことはいうまでもない。
前田は週刊誌などで「熟年離婚」や「十年目の浮気」などという見出しを見るたびに、かわいい奥さんがもしやどこかの見知らぬ男と・・・・・・などとよからぬ心配をしていた。確かに、家族のために使う時間が少ないし、たまに帰れば三歳になる娘からは「このおじちゃんだれ〜?」といわれる始末だ、家族の心が離れても文句は言えない。前田は不安というより絶望に近い心理状態だった。
しかし、刑事としての前田は書庫の前に立つと一変した。六年前に起こった通称「あいうえお連続殺人事件」の調査書類を探しに来たのだった。大洗よりも警察官としての経歴は長いが、事件の詳細は彼より明るくない。それに、当時所轄勤務の彼には事件の詳細まで情報が降りてくるはずもなく、自分で調査する暇もあるわけもなく、いつのまにか他の事件に翻弄されて歳月は過ぎていった。それが、六年という沈黙を破っていま再び犯行が行われているというのは、彼をぞっとさせた。
「できればそのまま永遠に眠っていればよかったのに。」
事件が未解決なのは確かに、遺族にとって口惜しいものだろう。新たに事件が起これば犯人が証拠を残す可能性もあるし目撃者も増えるから検挙率は上がる。しかし、新たな犠牲者が必要な事件など何一つない。矛盾した心理だとつくづく思う。
六年という歳月は膨大な記憶を蓄積するものだ。書架にずらりと並んだ書類の束に彼は思わず溜息をついた。
数年前から警察でもコンピュータの導入が進み、犯罪履歴や犯罪者のデータベース化が進んでいる。それでも、これまで全ての事件をデータベースに載せることは困難であり、導入以前のものは自分の目で探さなくてはならない。こればかりは時間の経過とデータの蓄積を待つしかないだろう。いずれ、データベース情報の共有化が進めば、犯人検挙につながる情報が今以上に早く見つかるようになるはずだ。
「従来の手法や技術に固執するあまり、技術や方法論の意義そのものを見失うことがある。技術はあくまでも人間の活動を補助し、その機能を強化し、脆弱性を補完するものだ。「新しければいいというものじゃない」という奴がいるが、その通りだ。だが、古いもので不便であったり、適応できなかったりするのであれば、やはり新しい技術は必要になる。何のためにそれが必要なのか、なぜそれでなくてはならないのか、目的とその根拠が伴わないのであれば、どんなにすぐれた技術であっても意味はなさないだろう。」
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