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俺は小説家を目指している。

145イチゴ大福:2005/02/13(日) 10:35:22 ID:Mo5eFkiY
4.現実は虚構に抱かれた非対称空間の視覚的死角
令状が取れるとすぐ、彼ら二人はT経済大学四年の喜多川の張り込みを始めた。比較的大学に近いアパートメントだが、大学が近いだけあって、どれが喜多川のアパートか見分けるのに時間がかかった。
喜多川の部屋は二階の角部屋で、ようやく明かりがついたのが深夜の二時だった。一人で帰宅したところも二人は目撃している。
「ずいぶん遅いやっちゃな〜。なにしとんねん学生無勢が!」
大洗がなぜ急に関西弁になったのか釈然としないながらも、前田はそのことに触れない。どうせ「だからお前は馬鹿なんだよ!」といわれることを学習しているからだ。
「学生なんてみんなそんなもんですよ。四年生のこの時期はもう卒論も終わってますから、友達と飲んでたんじゃないんですか?」
「飲むって、まだ二時じゃねぇか。俺が大学に行ってたときは朝まで飲んでたけどな。」
「音楽家ってそんなに飲むんですか?なんだか清廉なイメージが壊れますね。」
「アルコールが入るとピッチが上がるんだよ。だから深夜まで練習しながらみんなで飲むんだ。そして酔いが回ってきたところでラフマニノフをジャンジャカやるんだよ。あれは気分がいい。」
笑いながら言う。飲み屋で誰それかまわず絡んでいる酔っ払ったおっさんみたいだと思う。
「そんなもんなんですか?」
前田は赤ら顔のピアニストやドレスをはだけたチェリストを想像して困惑した。決して古典音楽の嫌いな前田ではなかったが、その迫力や芸術性がアルコールの勢いに負っていると思うとなんだか萎えた。
「で、アパートメントに帰った学生はなにをするんだ?」
「さぁ、寝るんじゃないですか?」


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