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俺は小説家を目指している。
131
:
ε=\_○ノ<ヒャッホー!
:2004/12/08(水) 12:04 ID:JE7KGh0.
プラトンの最後
なぜ自分がこんなところに閉じ込められなくてはならないのだろうと
プラトンは憤っていた。
裁判は明らかに彼を裁くにはその根拠が薄弱であったし、そのような
もののために民衆がデマゴーグに靡いたことに、彼の理性や知性は幻
滅し、その神の存在を疑わずにいられなかった。
それでも、彼はそれにも何か合理的な意味が、法の理性の理が内在す
るのではないかと自問いしていた。
「先生!先生、大丈夫ですか。助けに参りました」
現れたのは弟子たちだった。
彼を慕い、その教えに追従する、謙虚で、賢い者たち。
正義と勇気、叡智と中庸を備えた、彼の理想とする人間に育った
若者たちだった。
「なんということを。お前たちまで捕まってしまうぞ」
「あんな裁判はインチキです。奴らは先生に嫉妬しているだけなのです。
そんなもののために先生が死ぬだなんて無意味です」
「その通りです。先生はこの国の至宝ですよ」
彼らの言うのはもうプラトンも考えたことだった。しかし、それではなぜ
自分が裁かれねばならなかったのか、解決してはいなかった。
「まだだめだ、私は裁かれたのだ。それには理由があるはずだ」
「あるとすれば、それは傲慢と嫉妬です」
「正義のために法が行使されなかったのかな?」
「そうです」
「では法とは価値のないものであろうか?私は法に正義がないとすれ
ば、その叡智、勇気、それを行使する中庸も存在しないと考えるだろう」
「しかし、先生に罪はありませんでした」
「そうだ。罪がないのに裁かれる。もしかすると、罪の概念が変化したの
かもしれない」
「それでは末世です」
「法を行使するものが間違っていたとする。しかし、民主制とは我々が
選択したものだ、もとい、私を裁いた彼を選んだのは私といっても過言
ではない」
「人は過ちを犯します」
「過ちから学ぶのだよ。・・・・・・私が裁かれたのは、その学ぶべきことを
知らしめるためなのかもしれない」
「命をかける価値はありません」
「私は、やはりこの国を愛している。この国の制度や、法や、人間を愛
している。今、ここで逃げてしまえば、初めから何もしなかったのと同
じことではないだろうか?教え、育て、築き上げたものを、私は否定し
はしないだろう」
「生きていれば、理想の国家を作ることなど・・・・・・」
「人はいづれ死ぬ。その価値はどれだけ生きたかでは計れない。何をし
たかで評価される。私はこの国に生きた者として、何をしたかを知られ
たいと願うだろう。それに、国を作るのは君たちのような若者の仕事だ」
「正義が行われません」
「慣行の問題だ。行動規範が異なるからと正義ではないのではないだろう?」
「正義にも多元的な意義があると?」
「君たちが示すべきだ。そして認められるのならば、それは正義といって
差し支えないといえるものかもしれない」
「曖昧ですね?」
「明快なものなどどこにある?三人称は不在の実在だよ」
弟子たちは黙り込んでしまった。
もう何も言うことはなかった。プラトンの決意は固く、それを止める
よりは、彼の意思をどう紡いでいくのかが問題のように思われた。
「もういいのかな。なに、私が死んでも、私の思想は行き続けるだろう。
傲慢なことをいっているのではない。これら私のいってきたことは、
誰もが自然とそうであると気づくことができるものであるからだ」
「みなが先生のようであるわけではありません」
「まったくだ、しかし、そうでないわけでもない。いや、そうであるから
人間らしいといえる。さぁ、もう行きなさい」
弟子たちは最後に師の手に口付けをし、去っていった。
プラトンは彼らの優しさに胸打たれ、清清しい気持ちだった。
「人がいるかぎり、正義と悪はその所在を明らかにせず内在するだろう。
誰も人と関わるかぎりにおいて影響をうけるからだ。そのような状態に
あって、我々は孤独を望むか、それとも行動で示すか?
自然がそうであるように、我々もまた、孤独ではいられないだろう。
とすれば、私は私の信ずるところにより法を遵守して毒杯を仰ぐのだ」
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