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三度の飯より、音楽が好き!

5闇夜の鮟鱇★:2004/01/17(土) 10:09 HOST:035.net219096028.t-com.ne.jp
★★★この世で一番、叙情的な音楽(その三)★★★

最後の三つ目は、ある意味で一番とっつきにくい分野でしょうが、
いわゆる無調音楽の一つを紹介します。
アルバン・ベルクの『叙情組曲』という作品で、
私が聞いたのはアルバン・ベルク四重奏団の演奏でした。

そもそもが叙情的な音楽を紹介するという主旨なのに、
曲名からして叙情組曲では多少面白味に欠けますかね!?
ただ、調性というものを離れても、これだけ叙情的な音楽が作れる、
と言う点で、私には少し意外な感じがした分けです。


なじみのない方の為に、少し無調音楽の説明をしておきますと、
普通、西洋音楽では、いわゆるハ長調とかイ短調とか、
必ず調性というものがあって、
一つの中心音を基準に音の秩序が決められている分けです。

ところが、音楽やその理論がどんどん発展していく内に、
そうした調性音楽に飽き足りないという作曲家が現れまして、
それで色々と前衛的な音楽が作られた分けです。
最初は、和声をわざと無視して不協和音を入れたりしていましたが、
それが行き着いた所が無調音楽という奴でした。

別名を12音技法とも言いますが、全く調性を感じさせないように、
一オクターブの中の12の音を公平に使うというのが原則で、
12の音をひとつづつ使って自由に並べ替えた音列を作り、
それを元にして音楽を作ってしまう分けです。
前述したビル・エパンスもこの技法でジャズを作っていますが、
例のアルバムの『T.T.T.T.』という曲がそれです。


最初に無調音楽の話を聞いた時、
私は途方もなく広い領域があるかのように思ったんですが、
意外とそうでもないんですよね。
結果的に言うと、短調・長調に加えて、
もう一つ無調という種類が加わったという程度なんですね。
長調が楽しい音楽、短調が悲しい音楽という言い方をするなら、
無調は苦い音楽という感じでしょうか。

結局、メロディーを作るのに、
12の音を並べ替えるだけの自由度しかない分けですから、
ある意味では、ものすごく窮屈な音楽ですよね。
逆に言うと、調性音楽というものが開発し尽くされた結果、
この制限を外すと、すぐ調性音楽に聞こえてしまうという事情があるみたいです。

例えば、皆さんは、古い家屋で板張りの天井があったりした場合、
寝ころがって節穴を眺めていると『任意の三つの節穴が、
人間の顔に見えて来る』という経験をしたことがありませんか!?
それと似たようなもので、ちょっとでも調性に近い音の組み合わせを聞くと、
調性音楽に聞こえてしまうということなんじゃないかと思います。


で、無調音楽もすぐに使い尽くされてしまうのか、
この後の前衛音楽は、もはや音階というものから離れます。
つまり、ピアノの鍵盤の音から自由になる分けで、
ミュージック・コンクレートなんていうのは、
現実の音を組み合わせて音楽を作る分けです。
例えば、ビートルズの『Revolution №9』なんてのもその一例ですね。

でも私が聞いた限りでは、残念ながらベルクより後の前衛音楽で、
『繰り返し聞きたい』という音楽は見つかりませんでした。
電子音を使ったジョン・ケージとか色々沢山名前は聞きますけど、
少なくとも、ここ数十年位の間の前衛作曲家は、
今後、何世紀にも渡って受け継がれていくような遺産、
例えば、バッハやチャイコフスキーに匹敵するようなものを、
何も残せなかったと言えるんじゃないでしょうか。

私が知る限りでは武満徹が映画の為に作った『怪談』なんて作品は、
辛うじて引っかかるかもしれませんけどね。
まあ、私もそんなに沢山聞いた分けではありませんから、
まだどこかに隠れた名曲があるのかもしれませんが……
もし御存じの方がありましたら是非、教えて下さい。(続く)


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