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3.11以降の世界と現代文明のゆくえ
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藤原肇
:2012/08/03(金) 11:51:44
グルノーブル大学で修士をやった時は悪戦苦闘で、知っていることを言われた時は理解が可能でも、知らない新知識に関しては理解不能のために、チンプンカンだという留学症候群に陥り、級友にノートを見せてもらってやっと理解でき、三時間くらいしか眠る時間がない生活だった。
せっかく留学したのにあの頃は寝る時間もなく、岩登りの他は本を読む余裕もない苦しい日々が続き、あんな体験は二度と味わいたくないと思う。それでもビリの成績で修士課程を修了して、博士課程になったら好き放題に山に登り、ファシズムや精神病理学の授業にまで出席したし、商社の資源コンサルタントになったお陰で、自分の力で生活する道を開くことができた。そんなある日だがある会社からの電話で、そこの技術者と議論して欲しいと頼まれたが、何事かと思ってその話に乗ったのであり、それが人生における転機を提供した。そこには日本から送られた地図や図面などがあって、最初は何のことか良く分からなかったが、何と日本人はダム地点に関しての基礎になる資料を送って、ダム建設の設計をしてもらっていたと分かった。それまでは日本の技術が世界一だと思い込み、得意な気分に統帥していたというのに、日本人が担当していたのは土方作業であり、肝心なソフトは他人任せだったと知って、これは大変な秘密に遭遇したと大きなショックを受けた。
当時は未だコンピュータも一般化しておらず、数学科でも数値理論を学んでいる程度で、コンピュータに触った学生もいなかった。だが、その会社では何千分の一の模型を作り、設計の内容次第でダムの寿命まで計算して、シミュレーションする能力をフルに使い、設計サービスをするような仕事をしており、科学における落差に愕然とさせられた。日本では湯水のように浪費すると形容していたが、水に対しての取り組みも幼稚であり、フランスではエビアン水を瓶詰めで商売していたのに、日本ではようやくダム建設に取り組み始め、「黒部ダム」の計画に国民は民族意識を高く掲げたし、私もその流れの中で驕慢化していた。
その頃の私は水の惑星の地球である以上は、何よりも大切なものは水資源だと考え、自分が水資源と関係することを誇りに思っていた。水の存在のお陰で生命が誕生しており、水の流れの大河の周辺に古代文明が生まれ、農業革命が文明の歴史を育てたのだし、液体の水が水蒸気になって利用されたことで、産業革命が始まったと理解したつもりだった。その意味では実にまともな感覚を持ち合わせて、生命の歴史をあらゆるものの出発の原点にし、それに自分の人生路線を重ね合わせていたと思う。だから、まともな人生を生きるという考えを持ち、水が総ての根源であると考えいた、ターレスに忠実な弟子であることに満足する、純粋な若者の一人に私は属していたというのに、このダムにまつわる見聞はショックだった。
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