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「学問は光なり」と「賢者のネジ」の表紙にあるロゴの持つ秘力の意味

12藤原肇:2005/01/05(水) 07:12
前穂高岳の山頂でアンモン貝の化石を見つけた夢は、昼下がりのシエスタを彩るエピソードだったが、暫く出来事を繋ぐ連環の糸を手繰った後で、午後の行動に移る前に床屋に行ってさっぱりしようと思った。というのは、妙な体験を含む昼飯の後でホテルに戻る途中に、客で混んでいたが何軒かの床屋があり、私好みの年取った親父が働いていたので、そこで散髪する気になっていたからだ。
最近はどこの国に行っても床屋(bar-bar)がなくなり、理髪室(hair salon)や美容院 (coiffeur)ばかりになってしまい、鋏と剃刀で髪をあたる腕のいい床屋の消滅は、私にはトキやパンダの絶滅より淋しく思えた。グルノーブル大に留学していた頃の私には、年に数回イタリーに行き散髪するのが楽しみだったが、最近ではイタリーでも床屋が急速に絶滅に瀕しており、どこへ行っても米国と同じユニセックスの美容院ばかりだ。
一昨年ミラノから地中海に抜けた旅をした時も、高速道路はやめて町内を通る国道を走って、街道沿いで高年の職人がやる店を探したが、結局はサン・レモの近くでやっと床屋を探し当てた。しかも、遂に地中海に着き町の観光案内所を訪ね、老人が一人でやっているような散髪屋はないかと聞いて、やっと念願の床屋にたどり着けたのだ。
その点でモロッコは男の世界が残っており、男客だけを相手の床屋があるのは嬉しいが、空いた店は何人も若い職人ガ働いているし、年季の入った親父ガやっている床屋では、一般にお客がたくさん待っている店が多い。しかし、数件ほどの床屋に狙いをつけて置いたので、絹のシャツを木綿のTシャツに着替えて、待望のバリカンなしで鋏と剃刀で髪と髭を当ってもらったが、こんな嗜好は今の日本や米国では夢のまた夢だ。
一年前の夏の終わりにシシリー島を旅行した時に、パレルモの近くのモン・レアーレ修道院に行ったら、教会前の広場に数軒の床屋が並んでいて、そこでシシリー風の散髪を体験できた。しかも、渋沢竜彦がシシリー旅行をした時の話で、パレルモからタクシーを雇って怪物宮殿を訪れ、大分経って宮殿から出たら運ちゃんがいない。どこに行ったのだろうかと探したら、床屋から石鹸を顔中に塗った運転手が飛び出し、「待っている間に髭を当ってもらっている」と言ったという。運転手も私に似た好みの人かと思って苦笑し、その話を思い出しながら私は散髪を楽しんだが、一年前のことを今度はマラケッシュで再び思い出して、一年ぶりに顎鬚の周辺に剃刀を当ててもらった。それにしてもモスレム世界は髭が男の象徴だから、その波動が地中海地域にはあるようだと思い、髪だけでなく顎鬚まで床屋にあたらせたが、こんなことも旅における楽しみの一つだ。


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