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ある体験の・・・回想録6

463zebla:2010/11/14(日) 23:15:43
入院を打ち明けてしまったから、ついでに書いてしまうことにしようと思う。

昔、私の両手首と両足首には、Tによって革のベルトをはめられていることが多かった。
デザインはブレスレットのような趣向のものだったが…それはTの気が向いた時に私を拘束しやすくするためのものだった。

今私の左手首にはバーコードと姓名とIDが明記された腕輪がはめられている。

入院直後から退院時まではずされることのないこれは、一度はめると外せないようにできていて、退院時、ハサミで切ってもらえるまでつけ続けることになっている。

濡れても破れない、すなわちプラスチックかナイロンのような材質でできているこれは汗を吸わず、ともすれば肌にはりつき非常に不快だ。

洗顔時も入浴時もつけたままなので、つけている間に反り返ってきた接合部の先端の角が時折肌をひっかく。さして痛いわけではないが、手首にまかれたこれの存在を意識せずにおれなくさせる。

肌が汗ばめば、これが肌にはりつき痒くなってくるが、前後に数センチずらせるだけのこれをずらしながら、輪の中に指を入れるようにして拭いていると、否応なしに当時の記憶が蘇ってくる。

はずして欲しいと何度か哀願したのだ。絶対に逆らわないからと、Tが求めた時にはすぐに手足を差し出すからと頼みこんだ。

しかしTには、痛くも痒くもないはずのこれをなぜそれほど嫌がるのかと理解してもらえず、むしろこれを嫌がることが反抗的だと、なかなか許してはもらえなかった。

手首足首に違和感がある、あり続ける。ただそれだけのことだ。耐え難いほどの痛みや痒さが襲うわけではない。ただ、継続して常にわずかに不快であり続けるだけだ。

「そんなに不快ですか?」と、さして気にとめる風もなく軽くいい放ち、バーコードの必要性について理解を求める看護婦がTと重なる。理解してもらえたはずがないのだ。


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