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哲学・宗教質問箱

87Sekko:2006/09/29(金) 19:56:50
命を狙われる言論人
 今朝、ラジオで、イスラミストから家族(妻と娘)もろとも命を狙われる哲学教師Robert Redeker が2日ごとに引越しする潜伏先でインタビューに答えているのを聞きました。B16がらみで、9月19日にFigaro紙の論壇で「イスラミストの脅しに対して自由世界は何をすべきか」という論考を載せたからです。次の日、チュニジアの内務省がこのフィガロを発禁処分にし、続いて、原理主義グループからの弾劾判決ファトワが発せられたのです。
 私がショックだったのは、これについて、教職員組合が彼を支援しなかったことです。フランスには「哲学教師=無神論者=反カトリック=左翼=親アラブ」という根強い伝統があり、誰かがカトリックを批判することで教会や保守主義者から弾圧や統制を受けると、すぐに連帯して表現の自由のために戦います。しかし、そういう左翼インテリの伝統のせいでイスラム原理主義には脇が甘く、しかも、攻撃されたのが伝統的に彼らの敵であるローマ法王ということで、そのローマ法王をかばう形になったルデケールの記事に冷たかったということです。この哲学者は2001年の11月、の「ル・モンド」でもイスラム原理主義の批判をして、普通なら9・11の後でもあり無難だったはずが、やはり「イスラム嫌い」ということで哲学教師組合から追放されかねない騒ぎになりました。
 ところが、実際、ルデケールは、フランスの「哲学教師=無神論=左翼」の一人ですから、今回のことも、別にローマ法王をかばったのでなく、表現の自由に対する暴力的反応に怒ったのだと思われます。確かに表現は少し過激でしたが、それによって、彼と彼の家族が命を狙われるというのはまったくの理不尽であるのは言うまでもありません。ルデケールは記事の内容については後悔していない、自分は充分に言葉を選んで書いた、と言っています。もちろん誰かが信念を持って何かを書いても、それが一部の人に忌み嫌われたり、誰かを傷つけたり、社会的に抹殺、糾弾、無視などされることはあり得るでしょう。しかし、それでも、少なくとも身体の安全は守られるというのが自由世界の最低の保障であるべきです。
 たとえ、責任ある一国の長や大手宗教の長が「失言」しても、その個人や彼が代表する国やグループを即攻撃するなどが許されていいはずはなく、話し合いによる解決に向けて努力するべきで、ルデケールもそういう意味で論じたわけです。ラマダンの期間に入ったこの時期、一人の哲学教師が、共和国の中で、仕事も捨てて潜伏を余儀なくされ、妻子もおびえなくてはならないとしたら、まさに異常事態です。
 だから私は、むしろローマ法王みたいに、独身で、選挙区や跡継ぎなど個人的に守るものが何もない人に、リスクを負って平和の正論をどんどん言って欲しいのです。でも、そのせいで罪もない修道女がアフリカで殺されることや、カトリック教会が過去に自由の敵で弾圧と暴力の装置だったからといって、今の状況に連帯せずに口をつぐむフランスの「左翼インテリ無神論者」には我慢できません。「失言」のもとがローマ法王だからといって、「宗教同士のいがみ合い」と矮小化しているうちに、怖いことになりそうです。日本でもすでに禁書の訳者が暗殺された事件もありました。危機管理だけの問題ではないと思うのですが・・


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