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哲学・宗教質問箱

694sekko:2014/08/16(土) 23:29:46
愚者さまへ
ええと、いろいろなテーマが複合しているので、簡単には答えられませんが、この掲示板の7/31付の私の答えをお読みになっていると仮定してその先を続けてみます。

今の時代は、エコロジーの角度から平和の問題、社会悪や不平等にまで切り込む路線が貴重で有効だと思います。

解放の神学もそうでしたが、カトリック的な社会活動が左派イデオロギーと重なる部分があって共闘したり利用されたりすることもあったわけですが、基本的にはキリスト教には右派も左派もなくて、福音的活動の実践が問われていると思います。

「現代世界憲章」などは普遍宗教と人間の関係の中で到達点の一つとしてまさに画期的なものだと思います。これをじっくり読めば、「聖霊に従う」ということの意味が分かると思うのです。

ただ、「ミッションスクール=お嬢様文化=勝ち組グループ」みたいなものと結びついた小教区みたいなところでは、勝ち組の立ち位置を揺るがせるような反体制的言辞が「政教分離」の名のもとに嫌われて排除されるというのはフランスでもいくらでもあります。

司祭が家族を持たないとか社会経験がないから云々というのはもちろん言いがかりで、そういう人が本気で考えてくれれば、自分状況に縛られずにはいられない人々と違って、クリアで建設的な提言が生まれるかと思います。

少なくとも近代以降に教皇の地位にまで上り詰めたような人々の回勅や説教は、私心なくして考え抜かれた貴重なものだという印象を持っています。

「時の政権」というのは国や時代によっていろいろあるわけですから、そのあり方が福音に反しているものであればキリスト者が従うことができないのは当然だと思います。

でもこれも難しい問題ですね。

たとえばクウェーカーとか絶対平和主義の宗派が、たとえ犠牲を伴ってでも、絶対兵役拒否をすべての信者に強制できるほどの力を発揮するのを見る時、確かに、同じ宗教的力で若者たちを聖戦の名で自爆テロに向かわせる宗派だってあるのだから、複雑な気分です。

どうせなら全員を「絶対兵役拒否」「完全非暴力主義」で「洗脳」すればこの世に戦争はなくなるだろうに…と思ったり、でも兵器産業があれば無人戦争が続くのか、とか、どんなに「洗脳」して戦争をなくしても、違法暴力行為に向かう人やそのために組織される団体などはなくならないだろうから、結局それを取り締まるために合法的暴力装置としての警察は必要だし、とか…。

聖職者が神と同等でないとして世俗の権力者がその力を排してきたという話はあくまでもヨーロッパの歴史の流れで、そこに至るまでには、政教癒着や権威主義の実態がいろいろあったわけです。

すごいと思うのは、カトリック教会が、その中で消滅することもなく、分派することもなく、その葛藤の反省をしながら自己批判も臆せず、福音の道へ絶えず戻ってきたということです。

これについて、9/10発売の『カトリック生活』10月号に「ジャンヌ・ダルクと神学」というテーマで書いたところなので、発売前ですが、関連箇所を少し引用すると、

『コンスタンツの公会議では、公会議によって代表される「戦う教会」はキリストから直接授けられた至高の権力を持ち、その権力は教皇を含むすべての人間の服従義務を前提とすると宣言された。
それは大分裂を解消するために必要なものだったが、単に教皇支持派と公会議主義者の争いという構図ではない。世界を「聖職者」と「非聖職者」に二分して、後者を前者に無条件で絶対服従する下層民となす差別的世界観が提示されたのだ。世俗の者にとっての「徳」とは「服従」であり、「服従」が「信仰」と同義だった。「教会学」が「教会全体主義」というイデオロギーと化したわけである。(・・・・)』

それが今は、

『教会の力とは「服従させる力」ではなく「福音の力」であり、聖性にいざなわれた神の民である地上の教会とは、謙虚な奉仕と愛を実践するものだとされるようになった。その帰結が二〇世紀後半の第二ヴァティカン公会議だ。教会への服従こそが「徳」であり「信仰」であるというイデオロギーの時代を越えて、信教の自由が謳われたのだ。ジャンヌ・ダルク裁判は、もっとも貴重で聖なる一人一人の人格(ペルソナ)を根本的に無化する試みだった。だからこそジャンヌの復権と列聖は、カトリック教会が天に向かって確かに歩を進めていく象徴になる。人は自由意志によって神の呼ぶ声に答えるのだ。』

となったわけです。

ひとりひとりが「神の代理」となるくらいの気持ちで心と耳を傾ける必要があるのかもしれません。

http://setukotakeshita.com/


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