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哲学・宗教質問箱

653Sekko:2013/04/15(月) 08:23:37
愚者さま
イラク戦争の頃のことを今思うと、2002年の時点でたとえばドイツではシュレーダー首相がフランスと共に不参加を表明した時、「戦後ドイツの政治家たちがずっとアメリカのいいなりになってきた中ではじめてアメリカの要求を拒絶した」とドイツ国内で絶賛された話を思い出しました。その時にブッシュの政策をヒトラーになぞらえた女性閣僚がいてアメリカが激怒したという話もありました。

で、その後、米独関係がどれだけ壊れたかというと、大して壊れていない。

2002年や2003年の時点での日本なら、日本がもしNOと言っていても、失うものはなかったようにも思います。

フランスに暮らしていてもそうなのですが、一般的に言って、いわゆる欧米人って日本人が思うほどいろいろなことを根にもたないというか、単純というか、すぐ忘れるというか、割と関係を修復しやすい人たちなんです。

拒絶したい時にはバシッと拒絶しても、別の機会に友好的にふるまえばまたうまくいくというような。日本人は自分で前のことを気にして気まずくなったり、あるいは関係が悪くなるのをおそれて嫌なことでも譲歩したりしても、そんなことも分かってもらえないし、譲歩し損ということが往々にしてあります。

こういうメンタリティの問題は、それでも、国際関係をじっくりと観察していれば分かると思うんですけれどね。

それでも難しい問題はたくさんありますね。

たとえばフランスは痩せても枯れても普遍主義の国なので、そして、社会民主主義の国なので、福利厚生の各種手当が、収入の多寡や国籍に関係なく、合法的にフランスに住んでいるというだけで支払われます。

そういう政策のせいで新自由主義経済に後れをとっていて、そのおかげで自分たちは得をしているとドイツやイギリスは公言しています。

理念に殉ずること自体は私はいいことだと思うので、その結果の不都合は受け入れるのにやぶさかではないのですが、問題は、そうやって、「稼ぐ以上にばらまく」うちに、財政赤字が膨大なものになってしまっていることです。

もっとも、CAC40のトップが税金逃れのために国外に投資している金だけで財政赤字の3分の1に達するそうで、噴飯ものという気はするのですが、それでも、カユザックを擁護するわけではないですが、そういうことも知り尽くしている人が政治に目覚めるというのは悪いことだけではないとも思います。少なくとも、政治家になることで金儲けをしようと思っているのではなく、最初から金がある人がようやく政治的使命に目覚めたのかもしれませんし。

清貧だけで生きてきた人ばかりで国を動かすのは別のリスクがあるかもしれませんし、フランス革命などもほどなく恐怖時代に突入したわけだし、「1%をたたきのめして…」などという目線では語れないかもしれません。

個人的にはもっと社会学者にがんばってほしいです。日本の社会学って、なんだか、「ガラパゴス化した日本に特有の社会現象」みたいなものを分析したり解説したりしているようなのが目だって、本質的なものはあまり語られていないような気がします。

多くの人が多様性を活かしながらおっしゃるように緩い連携をして、立憲主義、平和主義を守っていければいいですね。

でも、最近、ドイツに占領された時のフランスのヴィシィ政権について、これまでは親ナチのコラボの極悪政権みたいに言われていたんですが、あの時点では、「平和主義」、つまり戦闘を回避する道だったという評価も出てきています。まあナチに過剰に迎合して自主的にユダヤ人狩りをするなど結果的に道を誤ったわけですが、親独政権なしでみながそろってレジスタンスに向かえっていえば、ずっと多くの血が流されていたかもしれないのも事実でしょう。

どちらにしても、何を譲れない線とするかをまず明確にして、それを歴史の文脈とすり合わせながら個々の場面に対応していくのが大切かと思います。

http://setukotakeshita.com/


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