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哲学・宗教質問箱

493Sekko:2010/09/25(土) 23:48:08
arikuiさま
 そうですね。でも、「司祭が足りないから、アフリカから招く」という単純なものでもないです。人口に対する司祭の割合は今でも、フランスはアフリカよりも多いです。
 カトリックでは司祭に叙階される時、特定の司教区か修道院などの所属が決められます。Incardination といいます。五年間以上別のところで働いたら変更も可能だそうです。で、昔はどの小教区にも、所属の司祭がいたんですが、今は、老齢化して、フランスの小教区所属司祭の半数以上が75歳以上です。75歳が一応定年なのですが、司祭不足なのでその半数は現役です。というより、健康状態が許す限りみな続けるようです。
 Pontoiseの例で、181人の司祭のうち、62人がincardineされた人、68人が、他の司教区所属の人(たとえば別の場所の修道会に所属しているとか、企業で言えば出向 立場)、51人が外国人司祭となっています。
 アフリカ人が多いのは、たとえばコンゴなど旧ベルギー領のカトリックがマジョリティの国とかでは、フランス語が公用語だし、フランス語系修道会が根強いので、フランスやベルギーの神学校に入って司祭になる人も多いからです。つまり、言葉を含めて歴史的に関係が深いからです。
 後は、EU拡大で、ヨーロッパ同士の行き来が自由化したこともあり、司祭の数の多いポーランド人司祭がたくさん来ています。人口の規模からいっても、ポーランド人司祭が外国人司祭の中でも多いようです。

 確かに昔は、教育の質のために神学校に行く人も少なくなかったし、一家に一人は聖職者を、という傾向もありました。カトリックの聖職者は独身なので、甥や姪たちにとって持続したスーパーバイザーとしてよりどころになったという側面もありました。

 今はブルジョワのカトリック家庭の子女のグループなどをのぞいて、若くしてカトリックに深くかかわる青年は少ないです。全体として精神的な危機にあたって救いを求める若者はカルト宗教や福音派などマーケッティングがうまいか積極的なグループへと向かいますし、カトリックでも教条主義的なグループとか、「キリスト軍団」のような使命感に燃えたタイプのグループに近づくことが多いです。
 これは、カトリックだけが衰退したということではなくて、今は情報も多く、若者のモラトリアムが許される時代でもあり、すべてについて、昔のように若いうちに「社会での立ち位置を決めて引き受ける」という傾向が減ったことの一部でもあと言われています。昔はたとえば、労働組合の所属は基本のひとつでしたし、結婚も標準でした。今のフランス人は子供は作っても、結婚率はすごく少なくなってます。組合参加率も。

 でも、ある意味で、長い家庭生活を経てから結婚するとか、他の職業を経た後で使命を自覚して聖職者になるとか、自覚的な選択が可能なのは悪いことばかりではありません。
 親が子供の選択をリスペクトする率は日本より高いと思います。


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