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哲学・宗教質問箱

409Sekko:2009/09/05(土) 08:47:08
みなさまへ
 お返事遅れてすみません。ここのところネットの接続が上手く行かなくて、今やっと回復しました。

 まず、ローマ帝国とキリスト教、ここではくわしいことは書けませんが、このテーマではいろいろな本が出ているので、興味があれば探してみてください。私は次の本で少しまとめています。
 キリスト教が、ユダヤ世界を出て普遍宗教になったのは、ローマ市民であったパウロの活躍が大きいし、ローマ的な世界観や当時の宗教事情や、政治軍事状況が関係しているので、「キリスト教が弾圧に負けずに最終的に勝利した」というような単純な話でないことはもちろんです。
 キリスト教によって何を救われたか、これもいろいろありますが、みなが当時の煩雑な宗教儀式や典礼や供物のシステムにがんじがらめになっていたのから救われた、っていう側面はあるようです。後、やはり、実存的なこと、ストア派のように肉体の死後は、魂が「宇宙=コスモス」の秩序の中に帰っていくというのでなく、肉体も魂も復活して、永遠の命をもらえる、というところが魅力だったと思います。仏教も中国を通過するうちに輪廻が消えて、みんな成仏して祖霊となるのが基本になり、さらに、成仏のための悟りや修行から、絶対他力の阿弥陀信仰と極楽往生が人気を得たように、「生前の人格を失わないままで無条件丸ごと救済」みたいな方向に流れるんでしょうか。
 しかし、もう少し掘り下げて考えると、イエスは、「救いを求める人々の心を利用して惑わせる偶像崇拝」の実情や傾向というものから、人を自由にして救ったというところが大事なので、そこのところをちゃんと説明した『自由人イエス』(クリスチャン・デュコック師、ドンボスコ社)を翻訳解説したものが10月か11月に出る予定ですのでそれをぜひ読んでみてください。


 フランチェスカさま、

 私は、シュタイナーは、昔シュタイナー教育とかリトミックによって最初に知りました。音楽と身体性や、教育について、私の考えて多少実践していることと通じるので、それには共感します。
 でも、あの辺の、つまり、19世紀後半から20世紀前半にどっと出てきた神智学とか人智学とか、つまり心霊主義とか、ブラバツキー夫人とかシュタイナーとかの一連の人々には私は偏見を持っています。
 あの頃のオリエント趣味とか、シンクレチックな諸教混交神秘主義とか、あまりにもあの時代の西洋の特別な精神状況と結びついているので、普遍性が感じられないし、その後の展開を見ても、相対化せずにはおれません。科学と宗教とか理性と信仰とかの対立をどう折り合いをつけるかという西洋近代の相克の中のヴァリエーションですが、さまざまな伝統を継ぎはぎした宇宙論にそんなに説得力があるとは思えません。
 シュタイナーの方は、一応、神智学と東洋趣味と離れたんですが、今度は西洋中心主義の方に針がふれちゃって、第一次大戦の頃にはゲルマン人の霊的優越を唱えていたみたいですし、私は一般的に、あの手の、霊的進化論が苦手なんです。霊のステージを上げて進化して救済されるなどのエリート思想も。
 シュタイナーの教育論には理想主義がそれなりにいい方に表れていますが、そして、彼が天性のアーティストであったらしいことにも好感を持ちますが。
 まあ、元が西洋キリスト教世界の人たちなんで、イエスは解脱したマイスター
として特別の地位を与えられてはいますが、お話としてきくのは嫌いじゃないですが、それを説いてまわる側には私はなれません。何が「正しい神秘主義」というような価値判断も無理です。「うちの宗派が一番」というような主張があるところからは、すべて距離を置くことにしています。ごめんなさい。
 不思議話は好きなんですよ。でも超越とか魂とか霊とかの話は所詮、この世界の物差しで測れないものですから、他の人と優しい関係が築けるような形で上手に付き合って行くのがいいと思います。人生において迷っているときや苦しい時にはつい「神秘」に「救われる」どころか足をすくわれることがありますから気をつけた方がいいですよ。

 明日から留守ですので、また帰ってからこの掲示板を拝見します。


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