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哲学・宗教質問箱

29Sekko:2006/01/18(水) 02:50:19
男系について
 仕事が押せ押せになってきて、じっくり書けないのですが、このテーマは確かに面白いですよね。あの時お話ししたように、「男が自分の財産や権威を子孫に継承させる」必要が生れた時に、「子孫の確定」のために制度としての婚姻がどの文化でも生れているので、要は
妊娠の管理であり、「一夫一妻」の「一夫」の部分が重要なのですね。「一妻」かどうかは経済力によるだけだったりします。あるいは「一妻」が子供を生産できない時ですね。女性の結婚はたいてい、ヴァージンロードを父親に連れられて夫に渡されるのに典型的に見られるような、「財」の移動でした。
 確かにそういう意味では、聖母マリアが処女であり続けたというのは、「父なる神」の権威を「子なる神」に移行させるためには絶対必要だったのでしょう。それから言うと、男であるイエスには、子供がいては困るという論理は必ずしも成り立ちません。イエスは「教会」と結婚し、キリスト教徒はみなイエスの子というイメージ、聖職者や修道者の独身制や「イエスの花嫁」という表現も、「一夫」が重要なのであって、「妻子の数」はどんなに多くても問題ないのでしょう。
 一神教が「一夫」への貞節をベースにしているとしたら、多神教社会では、もっと母系が残ってもよさそうでしたが、結局、財と権威の蓄積が男系を生むのですね。ヨーロッパでは、財と権威の継承権としての王家の系図はいつまでも残しているから、傍系はいくらでもあって、あまり直系にこだわらないというのはあります。フランスでさえ、今王政復古しても全然平気というか、誰が王になるかという順番は自明のものとしてあります。
 感動的だったのは、敬虔なカトリックだったベルギーの先王ボードワンで、愛する妃(スペイン人)との間に子供ができず、すごく悩んだ末、「ベルギー国民の父」となる道にたどりついたことです。一妻を守ることを、一神を守ることに重ねて霊的な権威を増幅させていき、霊的な財を増やして、弟だったか、次の王に無事引き渡すことができたという感じですね。これがサウジアラビアとかになると、部族国家をまとめるために、アブドルアジズが各部族と姻戚関係を作り、何十人という子孫がいまやネズミ算式に1万人を越す王族になって、強固な消費者のマーケットを形成し、まあ、事実上「一神」を守るというイメージも薄れ、それが、原理主義者を刺激して、という事態になっているので、ベルギーとは対照的です。
 カトリックが国教のモナコは、独身で即位したアルベール公が、他に子供もいる黒人女性と婚外子(男子)をもうけていたことが分かったのですが、これをすり抜けるレトリックも面白いものでした。まあ、ヨーロッパの王家は、王権神授説時代から、独身制の聖職者に対抗して霊的権威をいかにシェアするかというのが課題でした。
 日本では、天皇家はそのまま祭司としての権威を保持し、しかも一神教じゃないから、教会との拮抗や一神教の霊的権威の獲得のために知恵をしぼってきたヨーロッパの王家のような基礎体力がないのかも。王族の「臣籍降下」という感覚はなく、プリンセスは結婚してもプリンセスのままだし「臣籍」じゃなくて「親戚」の世界。分かりやすいのか分かりにくいのかよく分かりませんよね。他に考えることもないではないのですが、とりあえず無難なセンでやめときます。


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