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「ゲットー」の語源について
1
:
桃李庵主人(管理人)
:2025/08/19(火) 13:30:01
(1)結論を先に言うと、私は「borghetto(城壁で囲まれた小さな区域の意味)というイタリア語の頭を略した」説に一票。
他の説も検討してみる。
(2)「ghetというヘブライ語から」。なるほど、(現代)ヘブライ語辞典にはghetなる単語が載っている。ところが、その前後に同じ語根子音を含むように思える同根の単語が全くなく、孤立している。これは出自が怪しい。逆にghettoという欧米の言葉を借用したのではないのかとさえ疑われる。
(3)「貨幣鋳造所という意味のヴェネト語」[ヴェネト語とは、ヴェネチア地方に存在する(「した」?まだあるのだろうか?)ロマンス語の一種。イタリア語の方言ではなく、多分ガリアの言語なのでイタリア語よりはオック語(南仏の言語。フランス語の姉妹語)やフランス語の方に近い。しかし、長らく接触していたため見かけは多分イタリア語に近そうに見えているだろう。トリエステはヴェネト語地域の飛び地で、間にフリウリ語地域が挟まる。フリウリ語は珍しい、沿岸部に存在するレトロマン語の一種]。
これはユダヤ研究の専門家が書いた本(講談社現代新書)に載っている説なので重みがある。が、具体的にどんなヴェネト語の単語に対応しているのかが明らかにされておらず、検証できない。そもそもそのヴェネト語の単語なるものが実在しているのかどうかもわからないので、現時点では言語学的には論評しようがない。
そんなわけなので、私としては一番素直で単純でしかも語源がたどれて確かめられる、「borghettoをちょん切って略した説」を採用しておこうと思います。
で、だとしても、その元になった*borgoはラテン語起源ではなくてゲルマン語(多分ゴート語か何か)からの借用(意味は「城壁に囲まれた都市」または「砦」)なので、なるほど、ヴェネチアとかフィレンツェとかミラノとかの、北の方の方言だったのでしょう。
誰かを囲った「ゲットー」というわけではないのだろうけど、トルコのイスタンブールの旧市街は、鉄の柵で囲われた区域で、「ゲットー」のイメージがつかめて納得がいく。
米国のラッパーがよく自分たちの居住区域をゲットーと呼ぶ。大げさな、と昔は思っていたけど、そして実際柵で囲われたり(もちろん、制度として差別されたりも全然)してないのだけど、米国における黒人と黒人以外の婚姻の比率の顕著な低さからすると、ラッパーたちは(エマニュエル・トッドが繰り返し指摘するような)目に見えない「隔離」を体で感じていてそう表現するのだろうな、と今では思う。(しかし、人種差別的な歌詞が普通にあるのは黒人のラップであって、それはparental guidanceの文字がついてるだけで天下御免に売られており、一方白人のロックには人種差別的な表現は全くない)
2
:
桃李庵主人(管理人)
:2025/08/19(火) 14:02:08
Borghetto説に納得するもう一つの理由。綴りがghである理由が「イタリア語だから」で説明できること。イタリア語は、gi、geと書けば「ジ、ジェ」で、「ギ、ゲ」と読むのならghi、gheと綴る約束(フランス語なら「ギ、ゲ」はgui、gue)[*]。
これが「ヘブライ語説」だと、わざわざghと綴る意味がわからないのです。旧約聖書の登場人物で、名前の中で(特に、語頭で)ghで綴られてる人って思いつきますか。いないでしょ。実際、ヘブライ語に語頭の「g」と「gh」の「区別」なんて存在しないし。
[*]: だから、Ghibliって書いて「ジブリ」って読ませようとするのは全く意味がわかりません。ただ、cとgが清濁の「対」であるなら、chiがチなら、ghiはジ(ヂ)だろうと思うのは解る気はします。合理的ではある。
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