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勿読論(君病みたまふことなかれ)

1桃李庵主人(管理人):2022/09/27(火) 23:10:07
【勿読論(君病みたまふことなかれ)】

 たとえば以下の本、重要なことが書かれている。
 が、若いあなた、これらにやたらに手を出してはいかん。
 悪い本だからではない。それどころか、よい本なのだ。
 それでも、…無闇に読んではだめなのだ-。

◆楊海英:『紅衛兵とモンゴル大虐殺 草原の文化大革命』筑摩選書(2021年3月)
◆浜田寿美男:『袴田事件の謎 取調べ録音テープが語る事実』岩波書店(2020年12月)
◆文春オンライン特集班:『娘の遺体は凍っていた 旭川女子中学生イジメ凍死事件』文藝春秋(2021年9月)

 有為の若い人に告ぐ。
 《自分には辛い真実と向き合う勇気がある》ということを証明しようとして、こういう本にはまり込むのはやめなさい。

 あなたが手に取らなかったらこの本は、誰にも読まれることなく埋もれていってしまう…、だろうか。
 ああ、そうかもしれない。が、しかし、そのために今あなたが病んでしまってどうする。
 あなたは心をボロボロにするために生まれてきたのか。やりたいことがあって生きてるのではないのか。

 悪いことは言わん。

 よっぽど調子のいい時以外は、こういうものにはやたらに手を出してはいかん。

 あなたと同じように世の不正義に憤る人は他にもある。
 あなたが今無理にも読もうとしている本は埋もれてはいない。(いや正直言って、埋もれる時は埋もれるし、今この瞬間も無数のよい本やそうでもない本が、読まれることもなく眠ったり、そもそも人の手に渡ることもなく[零細な版元にとっては倉庫のレンタル料がたまらないからだ]裁断されたりしている。だがそんなこと一々気にしていたら気が狂う)

 あなたと同じ志の、もっと非情で強い心の人(笑)に、今はその本を委ねて、あなたは床につきなさい。酒飲んで寝てしまえ。

 心を病んで、「この世から自分自身を消す以外に現実と向き合う方法がなくなった人」を、ピンク・フロイドは「クレイジー・ダイヤモンド」と呼んだ。
 クレイジー・ダイヤモンドはもうすでに十分この世の中にいる。
 これ以上、エベレストにケルン積むようなことをしてどうする。

 その本を買ったはいいが、そのあまりの陰鬱さ、あまりの悲しさ、あまりの残酷さにページをどうしても開けられずにいたとして、わたしはあなたを嗤わないだろう。

      《君よ、考え疲れたら床につきなさい。
       明日からのことは、明日考えても、まだ十分間に合います》
                    --邱永漢『朝は夜より賢い』


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