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alpha-archive-11 北 勲 斜光作品
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資料期管理請負人
:2014/03/03(月) 23:07:27
巻頭言 10号/有り難きひと日
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〔巻頭言〕 10号/有り難きひと日 2005
10号 2005年
僕は貧乏だ。まだ十万からの住宅ローンをかかえ、旅行に行くこともできない。薄給と
いうのに給料はカットされ、一駅先お町田へ行くおにかかる電車賃百二十円にも考え込む
ことがある。そんあ貧しさは皆さんには無縁だろう。いわゆるセレブにでも囲まれたら、
棒は恥ずかしい。
貧乏ではあるが日々これお祝いである。生きていること自体を祝っている。生きている
こと、私がここにいることが極めて稀なことだから、これを有り難がっている。
命があること、これは、今日では、そう稀なこととは考えられていない。わが銀河だけ
に限ってみても、惑星なるものの数は億に達するそうだ。そこに生命はありふれているだ
ろう。地球のような星はあるかもしれない。人類は存在しているかもしれない。しかし命
に宿ったこの私なるものは、どこを探しても二つとしてないだろう。
この私は、宇宙中を探しても二つとないうえに、将来二度と再び生まれてくることはな
いだろう。過去かつて遙かな時代にどこかに生まれていたということもない。宇宙は始ま
って一口に百五十億年というし、これからもとてつもなく長く続くことだろう。その永遠
とも思われる中で、この私はこの一生一回切りである。これを極めて稀と言わないで何と
言おう。すると、生きていることがいとおしくなる。台所の片隅の玉ねぎに日の射して片
影になっている具合が、二度とはないすばらしいことに思え、存命の喜びをかみしめたり
する。一期一会の切り口だ。出会う人出会う人ことごとくが好き嫌いを越えてとても大切
になる。生きていることは、文字どおり「有り」「難い」。
貧乏などに頓着していおられようか。自分は人より劣るかもしれない。あまりいい目は
みなかった。辛辣さえなめた。体も衰えてきた。でも生きているということただそのこと
自体に汲めども尽きせぬ幸せがある。
草深の中に座れば草々は不思議なものと我を眺めをり
夕方に美しさといふものありぬ仕事を終へて丘に憩えば
有り難きひと日は暮れて陽の沈む地球の陰にまたの日待たむ
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