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19
:
α編集部
:2014/10/19(日) 09:33:30
山荘便り−鶯・杉・頤
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山荘便り 鶯・杉・頤(おとがい)
◆ 鶯(うぐいす)
机に向かっていると窓の外でいろいろな鳥の鳴き声が聞こえてくる。数年前から朝早
く美しくしかも長く囀(さえず)る鳥の声をベッドのなかで聴いてきたが、未だにその鳥
の名前が分からない。野鳥の鳴き声というサイトで調べるのだがもう一つはっきりしな
い。
日本三鳴鳥はウグイスとコマドリそしてオオルリと言われている。しかしウグイスで
もないコマドリでもない、そうすると残りのオオルリか。そのうち追々録音でもして識
者に判定してもらうほうがいいだろう。
さて、今日は十?近くの林のなかからウグイスの鳴き声が聞こえてきた。この鳥は山
梨県の県鳥でもあり、体長16?、体は所謂(いわゆる)ウグイス色である。私はむしろ目
白という鳥の若(わか)竹(たけ)色(いろ)の鮮やかさをウグイス色としてイメージしてい
た嫌いがあるが、声の良さに反して実に地味な鳥だ。
「ホーホケキョ」と、まるで熱心な信者のように法華経を唱えているようなこの鳴き声
は、正式には囀(さえず)りというらしい。これもWebで調べて見ると
さえずり:「ホーホケキョ」
縄張り宣言や雌を呼ぶために、繁殖期の雄が発する鳴き声。
「ホーホケキョ」の後に「ケキョケキョ」と激しく鳴くのは、縄張りへ
侵入してきた鳥への警告を意味しているという。
地鳴き :「チャッチャッ」
さえずり以外の鳴き声。主に繁殖期以外での鳴き声を言う。
私は手のひらにのる程の大きさのこの鳥が、谷に響き渡るようなその囀りの声の大き
さに驚く。カラスの鳴き方を観察してみると、口を精一杯大きく開け、反動をつけて体
ぜんたいを揺らしながら「カーカー」と鳴くのである。まさに全エネルギーを一点にぶ
つけるような力仕事に見える。そうしてみるとウグイスも我々が楽しんで鳴いているだ
ろうという想像とは大違いで、そこには生きるための必死の形相が見えてくる。
さて、いつもの癖で人間の大きさだと一体どんな状態になるだろうかと試算してみた。
体高で換算すると、人間の1?60?÷16?=10倍、ウグイスの鳴き声の届く範囲を2?と
仮定すれば、2km×10倍=20?。まさか人間の声がそんなに遠くまで聞こえるとは思えな
い。
しかし、高速で走る新幹線の鐵橋の下くらいの音の大きさ以上であろう。こんな試算
は意味をなさな い単なる遊びに過ぎないだろうが、それにしてもあの美しい囀(さえず)
りに違った様相が見えてくるのが面白い。
◆ 杉
葉の先にある黄色い房状のものは、膨(ふく)らんだ杉の花芽である。あと一月もすれ
ば花粉症で悩むことになる。なにせ花粉生産のまっただ中で暮らしているから、その症
状は本郷にいる時よりも更に深刻だ。
ところでその杉の葉に二種類の違いがあることを発見した。そしてあらゆる調査をし
たにも拘わらず、それについての記載はいまだ見つかってはいない。私のなかでその疑
問を抱いた切っ掛けは、薪ストーブに火をおこすために杉の葉を用いる時に気づいた。
葉が細やかで密集していて枝に沿って生えているから手に優しいものと、荒くてまばら
で外向きに尖(とが)っている葉をもち、軍手の上からでもチクチクと刺してきて、掴む
のに難儀するものの二つの種類である。しかしいくら調べてもその違いを扱っている書
き物は見当たらない。散歩の途中で木を調べて見ると確かに違う葉を持つ杉の木が半々
くらい存在する。
なお判明出来ないことに諦(あきら)めきれずにしつこく調べているうちに、遂に「ス
ギの耐雪性品種に関する研究」の中に「スギの葉型と冠雪量について」という論文を見
つけた。それによると、葉の形状が「オモテスギ」と「ウラスギ」の二種類に分かれて
いているらしい。
ウラスギは積雪に強い雪深い地方のスギで、短い葉が枝に沿って密集していて、積雪
の少ない形状の葉を持ち、棘(とげ)がささらなくて触っても手に優しい。
オモテスギは積雪に比較的弱い太平洋側のスギで、積雪がしやすい形状の長い葉が、
枝の外側に向かって立つ針状の葉は尖(とが)っていて、掴むと鋭く刺さって痛い。
ということで杉の葉の違いの疑問が解けた。論文ではオモテスギとウラスギを交配して
耐雪性の杉の木を作り出すという試みを長い間研究しているらしい。
ついでに匂いのいい杉の葉に纏(まつ)わる話がある。それは「杉の葉線香」で、それ
を製造している店の紹介文として「筑波山麓の渓流になつかしい音が響く。杉線香づく
りの老舗、「駒村清明堂」(茨城県石岡市小幡)の水車の音だ。
五代目の当主、駒村道廣さんがつくる杉線香は杉100%。水車で動く杵(きね)が原料の
杉の葉を搗(つ)くたびに、さわやかな緑の香りがよみがえる」とある。
そしてニューロン・カフェのリンクに貧乏絵描きさんの「街角スケッチ」のなかにその
工房の絵がある。
◆頤(おとがい)
この前の大雪で、我が家のテラスの屋根には220?の積雪があった。その重みで勝手口
のドアが軋(きし)んで開かない。慌(あわ)てて二階の窓から屋根に登って雪下ろしをし
た。一月ばかり経っても山通りではMさんの家から先、中通りではTさんの家から先は
不通である。ここ標高千?の山荘では記録にない積雪で、はからずも高齢者孤立集落と
なって一週間、食料と薪が尽きそうである。
さて、山の中での暮らしは退屈で仕方ないだろうと思われるかも知れない。ここに来
るまでは交通量の多さ、様々な機器類から発生する低騒音で常に耳の底に連続音が聞こ
えているようだし、ビルの林立で小さい空しか見えないし、人の多さによる混雑、様々
な気遣いが必要だ等々、私が大都会の真ん中で忙しい暮らしをしていたことを知ってい
た人には、そう思われるかも知れない。しかしこの山の中に住んでよく観察してみると、
様々な不思議がいっぱいそこら中に転がっている。
先日我が家の猫「モロ」をしげしげと眺めていたら、なんと猫には頤(おとがい)がな
いことに気づいた。人間で言えば口の下に突き出た部分のことである。アントニオ猪木
ほどの尖ったものではなくても、一応顎(あご)と呼ばれるものがあるのだが、猫にはそ
れがない。そこで色々の動物を調べた結果、人間のように物を口へ運んで食べる種類以
外は、総じて頤(おとがい)がないようだ。それはたぶん食べ物に直接口で食いつくには
頤(おとがい)が邪魔になるのだろうと結論づけた。
かくのごとく、興味を持てば今まで身近すぎて気がつかなかった事象が見えてくる。
何故だろうと考えたり、調べ回ったりしていると、都会でヤボ用や義理やマスコミ等の
くだらない情報で振り回される時間を思うと、山荘暮らしは一向に退屈しない。人から
動かされるのではなく、すべて自分が自由に使える時間ばかりであるのが一番いい。
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