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テーマ前書き集
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:
編集部
:2014/06/12(木) 14:29:48
第16号「揺らぎ」
第16号「揺らぎ」 2008/8
まえがき
私は以前、別の同人誌に「狭間シリーズ」の文章を十編ほど書いたことがあった。趣味
と道楽の狭間で、本音と建前の狭間で、晴と褻の狭間で、光と影の狭間で、都市と田舎の
狭間で、男と女の狭間で、パラノイアとスキゾフレニーの狭間で、モダンとポストモダン
の狭間で、など人生の岐路に戸惑ってたちすくむ己の心情を綴ったものだ。
そして一方を決断したその時、捨て去ったものに微かな思いを残した。去りゆくもの、
滅び行くものに憐憫の情を覚えることは人間の証のような気がしてならない。だから拝金
主義者や権力主義者などの効率よく物事を決断し、疑いもなく自ら選んだ道を突き進む人
を私はあまり好きではないし、信用もしない。人が岐路に立って自分の行く道を決めかね
て、戸惑い揺らぎながら迷っている姿に、私は人間としての共感を抱くのである。
「揺らぎ」とは機械的な正確無比の時の刻みではなく、一定した流れの中に生じる微か
な乱れのことをいうのである。
この宇宙の森羅万象,すべてに「揺らぎ」があるという。それが心臓の脈拍の揺らぎであ
り、うち寄せる波,風,潮の満ち引きの揺らぎであり、モーツァルトなどの名曲の中の旋
律の揺らぎであり、人との会話においても時には予期しない返答だったりするような揺ら
ぎである。揺らぎが創り出す変化は、私達が過ごす日常の殆どが褻の時間のなかで、人生
とは面白いと感じさせる何かを創り出す力があるようだ。
この世の中に絶対的に基準となるものは有りはしない。時間や空間や思想や理論におい
ても同様で、いまこの一瞬の自覚した己の存在だけが真実であることを除いて、すべて虚
であり、想念の中の出来事である。だから、どこかの殺虫剤会社の「そんなものが効くの
か」という男の疑問に答えて、藤原紀香が「その疑い深い目が好き」と艶っぽく宣うコマ
ーシャルがある。この、権威や定説や既成の価値観に対して「揺らぎ」や「疑い」を抱く
精神が好きだ。
古賀 和彦
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