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テーマ前書き集

36編集部:2017/10/26(木) 12:07:00
辞世の句
       第52号 「辞世の句」  2017/07

       

前書き   「辞世の句」             響灘王子

 まだ皆さんはお若いでしょうが、私自身がそろそろ西方浄土への航海準備が必要かと思
いまして今回のテーマは「辞世の句」と致しました。否人生いたる処に青山有りで、事件
事故災害の無い日のない日本列島においては何時その時がくるかも知れず、諸事万端怠り
なきよう慌てぬよう段取り八分の心掛けが肝要かと思います。
 そもそもこの思いつきは過去の映画「忠臣蔵」で赤穂城主:浅野内匠頭の辞世の句
「風誘う 花よりも尚 我はまた 春の名残を如何にとかせん」にあります。果たして即
日切腹を命ぜられた若殿が、数時間内にこのような深い味のある名句が発句できるのか、
後世の他人の作ではとの疑念が生じたからです。以降先人達の辞世集を見ては、自分の最
後の時までに如何なる秀作が残せるのかと思案の日々です。

 そこで有名なものを列挙してみますが「辞世の句」と言う明確な定義がある訳ではなく、
詩的な短文で和歌、俳句、漢詩など音韻を重視したものであることが多いようです。また
西洋人には格言はあっても辞世句の意識はないようで、死に直面してまでも「名」を残そ
うという日本人の美意識が表明されています。 古くは古事記のヤマトタケルに始まり、
皇室・貴族関係 → 源平合戦の頃 → 戦国時代 → 江戸時代 → 明治以降も連綿と続きます。
  ○ 身はたとえ 南山の苔に埋るとも??魂魄は常に北闕の天を望まんと思う 〜後醍醐天皇
  ○ 願はくは 花の下にて春死なむ??そのきさらぎの望月の頃 〜西行
  ○ 散りぬべき 時知りてこそ世の中の 花も花なれ人も人なれ 〜細川ガラシャ
  ○ あら楽し 思いは晴るる身は捨つる 浮世の月にかかる雲なし 〜大石内藏助
  ○ 旅に病んで 夢は枯野をかけ廻る 〜松尾芭蕉
 ??○ 身はたとひ 武蔵の野辺に朽ちぬとも??留置まし大和魂 〜吉田松陰
  ○ おもしろきこともなき世をおもしろく 〜高杉晋作
  ○ フランス軍の先頭に〜ナポレオン・ボナパルト
  ○ 音楽が終わったら、明かりを消してくれ〜アドルフ・ヒトラー
最初の後醍醐天皇の「身はたとえ・・・」は以降殉国の場面での基本形として多用され、
また自然美や花鳥風月や季語を入れれば美しい仕上がりになります。

 次に好きな句を列挙してみます。
  ○ 見るべき程の事は全て見つ 今はただ自害せん 〜平 知盛
  ○ かかる時 さこそ命の惜しからめ かねて無き身と思い知らずば 〜太田道灌
  ○ 浮世をば 今こそ渡れ武士の 名を高松の苔に残して 〜清水宗治
  ○ 一死以テ大罪ヲ謝シ奉ル 〜阿南惟幾
  ○ 散る桜 残る桜も散る桜〜昭和特攻隊
やはり武士・軍人の命のやりとりが絡んだ句は万感迫ります、自分の死を目前にして「終
活句」を作るだけでも大変な精神力なのに、更に人に感銘を与える美しき句を作る力量に
は感服です。

 勿論妻子・子孫には潤沢な資産を残すので辞世句など無用と思われる方は結構ですが、
小生のように残せる物が僅少の場合には預貯金通帳と株券と最後に辞世の句を残したいと
思います。数年前から自分史にも着手していますが、よくよく考えるといくら立派な一大
長編名文を完成しても冗長な作文では読み手も・・・なので、簡単明瞭な一句くらいなら
ば親族一同にも読んでもらえ、更には墓石に刻んでもらってもいいし、額縁に装幀しても
いいし、金銀財宝と違って永遠に残るでしょう。命のやりとりをしない平凡な現代人とし
ては、幸福な人生であったと感謝しながらも個性的でかつ人生訓的なものも挿入しつつ上
品で、また生い立ちの瀬戸内風景を入れてとなれば「白砂青松」となるかもしれません。
以前から家系図作成中ですが、その頃に作った一句
    〜??美田無く 子孫に残すは家系図一枚 〜
 でもこれでは妻子から文句が出そうだし、名句はハードル高くてお迎えをお願いするの
は何時のことになるやら!

 別編〜句に絡んで
 今春、遠縁の大学教授(英米文学)が退官記念に句集を発行、その中で一句
  ○ 学ぶ意味 問へど答へぬ若きらに 我は板書す「世のためなり」とが琴線に触れ
たのでここに掲載させてもらいます。
最後の「と」は無いほうが引き締まると思うのですが諸先輩の御意見は如何でしょうか。

【表紙説明】
 平成23年東日本大震災の秋に、単身軽四にて初めての東北地方一周の旅行をしました。
その際前年に早世した孫を偲んで青森県恐山まで脚を伸ばし、また各地の旧友を訪ねる道
中で奥羽の名水:十和田湖を堪能した際のスケッチ「十和田湖旅情」です。
 今でも思い出すのが、小学校4年生頃の国語教科書にあった「十和田のヒメマス」で学
芸会の演題にもなり、60年近く経っても不思議と和井内貞行の名前を忘れません。
 西国人にとって東北は北海道よりも遠い存在で、後日東北初旅日記も文字にしたいと思
います。




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