したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

テーマ前書き集

34編集部:2017/05/16(火) 09:39:30
変化
    第50号 「変化」  2017/01
       

前書き    テーマ 「変化」              竹内 一郎

 方丈記は「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうた
かたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまるためしなし」と始まる日本人の無常観を表
した書であるといわれている。 著者、鴨長明は隠棲し世間を斜に見たのかもしれない。
確かに戦乱、飢饉、大火、地震など天災、人災の連続した苦難の時代であった。それゆえ
隠棲したのかも。
 それはそれ、人の歴史は常に各種の困難の中ではぐくまれてきた。現在において防災技
術は鴨長明が生きたときから比べると格段の進歩をしているがいまだもって人は天災、人
災から逃れることはできない。
 彼の時代、人は天災、あるいは戦争などの人災になすすべも無く呆然と立ちすくんだで
あろう。そのなかで無常観というものが脚光を浴びてきたのであろう。しかしよく考える
と、無常とは冒頭の「」文に言い表されているとされるが、これは常に変化し定まること
のない情景を表しているだけで、この情景とその後に書かれている著者の心理状況をおも
んばかっての無常観、日本人が抱く思い入れの感情があるようである。なんとも言えない
切なさ、虚無などと表現される感情、あるいは情緒の側面があるようだ。
 それはさておき「無常観」という仏教でいう本来の意味は、それら一切の感情や情緒を
そぎ取ったところ、読んで字のごとく「常はない」ということではなかろうか。すなわち
常に「変化」しているという地球の姿を言っているのではなかろうか。鴨長明は方丈記の
書き出で無常を見事に表現している。書き出しの後に続く彼の心象風景を重ねることによ
り日本人の無常観なるものを表現した。この日本特有の無常観もまた歴史の中で特異な変
化をした無常観であろう。

 「変化」について過去二回書いてきたがこれまで取り上げた「変化」は人の心の枠外の
ことであった。しかし変化は人の心の枠の中でも常に起こっている。この心の変化する個
々の動きは多様であり方向性がないように見えるが、どうも社会という個人の集合の枠で
見ると何らかの方向性があるようだ。これが歴史の流れ、あるいは変化というものである
ように思える。第二次世界大戦後七十年が経過し、人は平和が一番大切でありその実現の
ため他人を思いやるグローバルな世界が目標だと信じてここまで来たが、このところの世
界の情勢を見ると潮目が変化してきているようにみえる。英国のEU離脱をきっかけとす
る、EU諸国における離脱への圧力、米国におけるトランプ大統領の誕生などグローバル
化に掉さした民族主義というか各国エゴイズムの昂然たる主張など今迄目指してきた価値
観の変化が頭をもたげてきたような兆候がある。おそらくこれらは世界が動乱の時代への
変化していることへの兆しではなかろうか。
 これらのことも考慮しながら「変化」を書いてみるつもりであるがわが心、常に変化し
どうなるか分からない。




新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板