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テーマ前書き集
26
:
編集部
:2015/02/18(水) 03:03:48
フロー体験
42号「フロー体験」
フロー体験─生活から楽しみを引き出そう
フロー体験とは、なんのことはない、皆さんよく知っている、「没頭する」「没入する」
「寝食を忘れる」あの体験のことだ。平凡のように思われるが、よく考えてみるとこれが
生活から楽しみを引き出す─退屈で不安な生活を楽しいものに変える大変な業物なのです。
M・チクセントミハイ著『フロー体験─喜びの現象学』が教えてくれた。
没頭は、「心理的エネルギー(つまり注意)が、現実の目標に向けられている時や、能
力が挑戦目標と適合している時に生じる。一つの目標の追求は意識に秩序を与える。人は
当面する課題に注意を集中せねばならず、その間ほかのすべてを忘れるからである。挑戦
目標の達成に取り組んでいる時が、生活の中で最も楽しい時である」(八頁)。
なぜ楽しいか。「楽しさは、個人が知覚した挑戦目標が自分の能力と釣り合っている部
分で生じている。テニスを例にとれば、もし二人の能力が釣り合っていなければ楽しくな
い」(六六頁)。
能力と挑戦目標の関係を敷衍すれば、例えば、錦織選手の活躍で自分もテニスを習いた
いと思うとしよう。まずラケット振りから始めるだろう。しばらくするとボールを当てる
のが面白くなり、ラケット振りを嫌がるようになる。さらに今度はボールが相手コートに
入るのが面白くなり、ボール当て練習が退屈になる。それが進めば、今度は試合がしたく
なり、練習だけでは満足できない、……
皆さん、このように、少しずつ目標のレベルを上げて挑戦し、楽しさを伴った経験は無
数にあると思う。遠い昔の受験勉強に始まり、何かの習い事、読書、創作、研究、スポー
ツ……。
筆者の場合を一つ挙げておこう。忘れもしない、今を去る六十余年(!)前のこと、ニ
キビ面の高校生の時のある日のことである。受験時代である。数学の問題を解いていたか
と思う。しばらくの没頭からふと我に返ると、「ここはどこだろう」。なんと見当識を失
っていた。ここは縁側だ。その突き当たりの壁に向かっている。辺りを見渡し確かめる始
末だった。「まるで虚空に浮いていたな」「時間はあっと言う間に過ぎたし、楽しかった」。
結局「没頭はいいものだ」と思い、この年になるまで忘れることはなかった。
フロー経験には、8つの構成要素があるという。このうち1つでもあればいい(六二頁)。
?達成できる見通しのある課題と取り組んでいる時に生じる。
筆者の上記事例も、「自分にも解けそうだ」という見通しがあった。
?自分のしていることに集中できていなければならない。
縁側の突き当たりとはいえ、自分の勉強部屋である。家は他には母一人であったが、母
がここに顔を出すことはない。
?行われている作業に明瞭な目標があり、直接的なフィードバックがある。
筆者の場合も、解き方が皆目分からないという相手ではなく、「解けそうだった」。
答えは備えてあり、正解だったかどうかすぐに分かる。
?意識から生活の気苦労や欲求不満を取り除く、深いけれど無理のない没入状態で行為し
ている。
筆者の場合、母にまつわる嫌なことを忘れることができた。(もっと大きく、勉強自体
そういうわけで、好きになった経緯がある)。
?楽しい経験は自分の行為を統制しているという感覚を伴う。
(筆者の場合、これはあまり意識されなかった)。
?自己についての意識は消失するが、これに反してフロー体験の後では自己感覚はより強
く現れる。
筆者の場合、先にも述べたように、我を忘れて時を過ごし、逆に、我に返った後は、そ
んな自分であったことを強く意識した。
?数時間は数分のうちに過ぎ、数分は数時間に伸びるように感じられることがある。
筆者の場合、あっと言う間に過ぎたのだった。
皆さんにご自分のフロー体験を語ってもらおう。あるいは、考察してもらおう。
皆さんの刺激になるように、最後に掲げておく。
「インド出身の若い数学の天才、スリニヴァーサ・ラマニュジャンは、彼の心理的エネ
ルギーのほとんど全部を数理論に投じたので、貧困、疾病、苦痛、それに突然訪れた死も、
彼にとってやっかいなものではあったが、彼の心を計算から引き離すことはできなかった」
(二五四頁)。
2014.12.30 神野 佐嘉江
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