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6
:
誰そ彼
:2025/08/30(土) 14:45:05 ID:bKEwvLNM0
忘れられた日
朝起きて、カレンダーを見ると、今日の日にちがマジックで塗りつぶされていた。
「誕生日…だったっけ?」と首をかしげた。
その日は、家族の誰も何も言わなかった。
食卓には、いつものように三つの皿と、一つの空の席があった。
7
:
誰そ彼
:2025/08/30(土) 14:59:10 ID:bKEwvLNM0
消しゴム
電線に洗濯バサミを並べていると、白いおじさんが話しかけてきた。
「おや、それは昨日掘り起こした月の光だね」
おじさんの手には、卵の殻が三つ。
「君の時計は、まだ午後十時かな?」
私は頷き、ズボンのポケットから消しゴムを取り出し、それを半分に割った。
すると、消しゴムの中から、カタカタと音を立てて小さな石が転がり落ちた。
おじさんはそれを拾い上げ、口の中に入れて笑った。
その瞬間、空からたくさんの靴が降ってきた。
8
:
誰そ彼
:2025/08/30(土) 15:01:39 ID:bKEwvLNM0
鉛筆の骨
机の上でトマトを逆さに立てると、知らない子供が床から生えてきた。
「それは昨日折った雲の骨だね」
子供の手には、濡れた砂時計が四つ。
「靴下は、まだ呼吸しているのかな?」
私は首を振り、口の奥から古い鍵を吐き出した。
それをねじると、鍵の中から冷たい蝶の鳴き声が流れ出す。
子供はその音を耳で食べ、背中から青い椅子を生やして笑った。
その瞬間、壁の隙間から無数の鏡が這い出して、天井を叩き続けた。
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